こんにちは、CTOの長谷川です。
Open Data Science Conference(ODSC)はデータサイエンスをテーマに質の高いプレゼンテーションが用意され、参加者も面白い人が多いので注目していたカンファレンスの一つでした。
今年のODSCはパロアルト近辺で開催される上に気になるスピーカーが何人かいるので参加しました。気になるスピーカーとは、テスラでAIのディレクターを務めるAndrej Karpathy氏、UBERでデータサイエンスチームをリードし、Berkleyで教鞭を握るMike Tamir氏、そして弊社でも欠かせないツールとなっているSlackのデータサイエンスチームを作り上げたJosh Wills氏の3名です。
Andrej Karpathy氏はテスラでのAI開発の現状を解説していました。テスラではモデルの精度が人命に関わるケースがあるため、エッジケースをとにかく追求して質が高い上に超汎用性が高いモデルの開発を目指していると言っていました。またアジャイルの一歩上を行くソフトウェア2.0の開発手法や、データ自体がプログラムの領域に達してきている現状を解説していました。
フェイクニュースを見破るAIを披露するMike Tamir氏
Mike Tamir氏は自然言語処理のディープラーニングモデルを用いて「フェイクニュース」を見破るAIを披露していました。私はSiriでエンジニアをしていた頃は自然言語処理を生業としていたため、ここら辺の内容、特にLSTMなどの手法は馴染みやすかったです。彼は機械学習の本題に入る前に「課題定義」の重要性を説いていました。フェイスブックのようにフェイクニュースを「事実とは異なるニュース」というように定義してしまうと、では事実とは何かといった非常に難しい問題と直面します。そうではなくて、「フェイクニュース」の特徴として、人間の感情を逆撫でして論理的思考能力を停止させるニュースを「フェイクニュース」と定義して、そのような文面を判別する分類器を作るように心がけたようです。
マイクをつけるJeff Wills氏
最後にSlackのJeff Willsですが、私は彼がまだClouderaでチーフサイエンティストをしていた時代から知っていたので、面白い発表をするに違いないと踏んでいました。出だしから「今は何だか皆が機械学習は面白いと思い込んでいるようだけど、私は機械学習をいつも苦痛に思っていた」と斜に構えた出だしだったので、さすが肝が据わってるなと思いました。彼はグーグルでアドのランキングなどの仕事もしていたので、グーグルの検索エンジンが3つの層で構成されているという内情を話していました。1つはリアルタイム層、これは新聞記事などの情報の鮮度が重要なデータの索引でドキュメント数は約2,500万。2つ目はコア層で、これが検索の大部分を占める内容で、ドキュメント数は4億以上。最後に「テラグーグル」という層があってなんとドキュメント数が16億もあったらしいです。
というわけで内容も参加者も素晴らしいイベントでした。来年も是非参加したいところです。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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