こんにちは、パロアルトインサイトCTOの長谷川貴久です。
先日、ブラックホールの撮影という歴史的快挙が発表されました。100年以上も前から存在すると思われていた抽象的な概念が、目に見える形で披露された歴史的瞬間だと思います。 今回の画像生成アルゴリズムを開発したバウマン博士のTED Talkが素晴らしく、ブラックホールの画像を捉えることの重要性、地球規模の望遠鏡がなければ遠くのブラックホールを捉えることができない課題、そしてベイズ法を活用した複数のパズルのピースを組み合わせるような画像生成方法などを分かりやすく10分程度で説明してくれています。若干29歳の女性にして既にCALTECHの助教授になっていることも納得できます。彼女が開発したCHIRPというアルゴリズムの論文もarxivに公開されています。 ニュースを追っていると、ほとんどが賞賛と感嘆の声ですが、「(理論的にすでに存在が証明された)ブラックホールの写真を今更数千億の予算をかけて撮る必要があったのか」というコメントがしばしば見られます。面白いことに、ビジネスのデータサイエンスの現場でも同じようなことが起きます。データサイエンティストが苦労して作った分析内容や可視化チャートを見て、ビジネスサイドが「これくらいのことならもう知っていたよ、もっと他にないの?」というような疑問を投げるシーンです。特にデータドリブン経営をまだ熟知していない組織では、こういう光景をしばしば見受けますので、その度に私は落胆します。なぜなら、「直感的に知っている」というレベルと「目に見えて証明されている」というレベルでは、その後の意思決定や仮設設定に置いて1と100くらいのパワーの違いがあるからです。 例えば、会社の過去3年の売上推移を可視化したとします。データ自体は事実を集めたものですが、そこからどういう意味を見出すかは見る人の主観によって変わります。その異なる主観をぶつけることで新しい発想や、深い洞察が生まれるのではないでしょうか。そうした小さな事実とデータの積み重ねが、後々の意思決定を簡単にすることを、ジェフ・ベゾスなどのデータドリブン経営者は本能的に知っています。なのでデータを軽視するような発言はほとんど聞こえません。 今回のブラックホールのケースは、理論的には存在が証明されているにも関わらず、2000億円相当という資金を導入して科学を1歩前進させてくれた世界各国の政府と、アインシュタインやホーキングをはじめとするブラックホールを追い求め続けた天才科学者の方達皆様に感謝です。宇宙の起源の謎を解くというロマンに溢れる挑戦を1データサイエンティストとして陰ながら応援しています。 それでは良い一週間を。 長谷川 |
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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