美空ひばりAIとは、過去の美空ひばりさんの肉声テープを教師データとし、声の特徴を再現したAIです。森美術館では4K画質で「お久しぶり」と語る姿が印象的です。2019年の紅白歌合戦では、秋元康さん作詞による新曲を披露して話題になりました。
いとこは料理を調べるのにYouTubeを使い、VRに抵抗がなく、初音ミクの存在が当たり前のネオ・デジタルネイティブといわれる10代にも関わらず、この作品にだけ、やや否定的でした。彼女のコメントは下記の2点に集約されます。1.本人合意なくデータ活用が行われているように見える点:「(亡くなったあと)勝手にこういうことされたら、どうだろう」
AI技術は近年取り組みが進んだものであり、当時の音声データが現代このように利用されることは当時の美空さんには当然想像が難しかったと思われます。活用が想定されない時期に収集されたデータは、利用時の反響を先回りで考え、説明を用意しておく必要があるのかもしれません。
2.オマージュでなく本物に近い印象で利用されている点:「お久しぶり、は違うと思うし、本人ではない」
本物の人間との線引きを明確にし、オマージュとして示されるべきで「私は美空ひばりさんのAIです」と言われるのであれば良かった、とのことでした。
2019年12月に日本の人工知能学会倫理委員会が出した「機械学習と公平性に関する声明」では「機械学習は道具にすぎない」点が重要とされました。あくまで、人が使うモデルであり、価値の問題抜きに語ることはできません。 |