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FacebookとGoogleの政治広告とスーパーボウル

2020/02/11 ニュースレター「Moonshot」 
by Ishizumi 
こんにちは。パロアルトインサイトCEOの石角友愛です。2月3日にスーパボウルがアメリカのマイアミで行われました。スーパボウルとは、NFL(アメリカンフットボールリーグ)の優勝決定戦でありアメリカ人の三人に一人はTVで見ると言われている、アメリカ人にとって一番大事なスポーツイベントです。(今回は約1億人が視聴したとのこと

普段はもっぱらNBAばかり見る私でも、スーパボウルは必ず毎年観戦しています。アメフトのルールはなんとなくしか分からないのですが、タッチダウンやインターセプトしたときの盛り上がりが面白いのとトランプ大統領をはじめとする政治家や経済界の大物やセレブリティが観戦にくるのを見るのが面白い、そして、何よりも、どの広告主がどんな広告を流すのかを分析するのがマーケティング戦略好きとして興味があるからです。

ハーバードビジネススクールのマーケティングのクラスでも、「あなたがマウンテンデュー(炭酸飲料商品)のブランドマネージャーなら、スーパボウルで広告を流すか?いくらなら流す価値があるか?どんな内容にするか?」だけで一つのケースになっているほど、アメリカの広告業界でスーパボウルで広告を出すかどうかは大きな決断になっています。

政治広告が大きく流れた今年のスーパボウル

今年のスーパボウルでは、2020年の選挙に向けてトランプ大統領と民主党から大統領の立候補をしているマイケルブルームバーグ氏が広告を流すことがリークされていました。ビリオネアの二人だからこそなせる技ですが、広告費は今回の選挙CMでそれぞれ約1000万ドルと言われています。(ビリオネアにとっては通常のアメリカ人がピザを買うお金くらいという意味を込めてピザマネーとも言われています)

今回私が見ていて以外だったのは、トランプ大統領もブルームバーグ氏も、政治的にセンシティブな問題を取り扱った広告内容にしたことです

トランプ大統領は、刑事司法を取り扱った広告を流し、ブルームバーグ氏は一番広告費が高いと言われているハーフタイムショー付近で、銃規制について語った広告を流しました。ブルームバーグ氏にとってはリスクをとったとも言えるでしょう。

そもそも、スーパボウルで広告を流す意味は、アメリカの大多数の人に自分の存在や自社ブランドを知ってもらうことにあります。その上で、ブルームバーグ氏はトランプ大統領に比べると、一般のアメリカ人からは知名度が高くなく、ニューヨーク元市長のビリオネア、というイメージしかありません。今回は、無所属層を含むスウィング票を狙いにいく意味でも、ブルームバーグとは何者なのか、人間的な側面を打ち出した広告が流れるだろうと予測されていました。

そこにきて、一番センシティブな銃規制の問題を取り扱う広告をなぜ流したのか実際にマーケティング調査によるとブルームバーグ氏の選挙CMに対し否定的な意見が肯定的な意見の3倍多くあったとのこと

左側が刑事司法を取り扱ったトランプ氏のCM。右側が銃規制を取り扱ったブルームバーグ氏のCM。クリックするとCM動画に飛びます。

次の日にみんながCMを話題にするかどうか

選挙CMに詳しいバンダービルド大学の政治科学教授のJohn Geer氏によると、「ほとんどのアメリカ人がマイケルブルームバーグ氏が誰かを知らない中、選挙CMを通して彼のベースとなる情報を多くの視聴者に与えることが出来た。そういう意味ではトランプ大統領よりも得たものは大きい」と言っています。

英語では次の日にみんながお茶を飲みながら話す会話のことを「Water Cooler Chat」(井戸端会議、職場での休憩所でのおしゃべり)と言いますが、まさしくWater Cooler Chatのネタになれるかどうかが大事というところでしょうか。

トランプ大統領のCMは、ブルームバーグ氏に対抗するためだけに流したとも言われており、エゴの戦いの主戦場としてスーパボウルの放送枠が選ばれました

選挙広告の費用に関しては、フェイスブックとグーグルも面白いレポートを出しているので興味がある方はぜひ見ることをおすすめします。

Facebook Ad Library Reportによると、2019年〜2020年2月にかけての各候補者によるFB広告費のランキングで1位は$28Mを費やしたブルームバーグ氏、2位は$24M費やしたトランプ氏。3位のトム・スタイヤー氏もビリオネアであり、4位以下の候補者の広告費と大きな差があることがわかります。ちなみにFacebookは2018年5月から選挙広告収入だけで$1Billion以上ありました。Twitterは政治広告を禁止したが、FBの場合大事な収入源であると同時に、候補者の声を「中立」に反映するプラットフォーマーとしてのアイデンティティがあるのではないかと思われます。しかし、結果的に資金源が豊富な候補者の広告露出が多くなる場合、プラットフォーマーとしての中立性や公平性、社会への責任が問われることも事実です。
グーグルのTransparency Reportによると、2018年5月からの政治広告収入は$186Mであり、同時期のFBの政治広告収入(($1Billion)と比べると約6分の1ほどであり、いかにフェイスブックが政治家にとって大事なプラットフォームかが伺えます。ちなみにグーグル、Youtube上でも、一位はマイケルブルームバーグ氏の$31M、2位はトランプ氏の$10Mとなっています。
スーパボウル広告は必ず次の日に色々な媒体が、Best AdsとWorst Adsランキングを発表するほどの注目を浴びます。今回は媒体によってランクは違うものの、私が印象に残っているのは、AmazonのAlexaやMicrosoftのステルスCMの質の高さ、Googleの感情的なところに訴えかけてくるCMそしてDisneyがDisneyPlusなどのストリーミングサービスのCMを打ち出してきており、今後のエンターテイメントカンパニーの注力どころが伺えました。

また、バドワイザーがビールのCMだけではなく炭酸水のCMを流したことも話題になっていました。ビールが売れなくなってきているのは日本だけではなくアメリカも同じで、代わりに炭酸水マーケットが伸びているのです。面白い兆候ですね。

個人的にはハーフタイムショーでシャキーラとジェニファーロペスがパフォーマンスをしたことに社会的な意味を感じました。50歳であれだけのパフォーマンス、二人のラティーナがHalf Time Showを演じることに意味があります。こちらも衣装やダンスが過激だったと後日騒がれていましたが、Water Cooler Chatになったという意味では成功でしょう。

引用元はこちら

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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