こんにちは、CTOの長谷川です。

私は一経営者として、ウォーレン・バフェットの手紙は毎年必ず読むようにしています。無味乾燥な財務報告とは違い、読み手に語りかけてくるようなスタイルが本当に良いです。扱う内容も、難しい方程式や投資家用語がほとんどなく、彼の思考プロセスがクリアな形で述べられている形式が素晴らしいです。

そんなバークシャーハサウェイですが、どんな企業に投資しているかというと、以下の通りです。

この表でも分かるとおり、主に金融系の企業と航空会社に投資しています。表の構成も非常にわかりやすく、それぞれの投資についてコストベースと現在のマーケットバリューが記載されています。マーケットバリュー順のトップ１５投資先を示していますが、どれも驚異的なリターンを得ています。

保険ビジネスの強さについても強調しています。ビジネスモデルがまず入金を受けて、保険の請求を受けたら支払うというモデルなので、入金から支払いまでの余剰金を「フロート」と呼んでいます。このフロートを投資に回すことで利回りを得られると同時に、普通のビジネスの観点から利益も得られるので、「タダで金を使えて、そのために支払いを受けている」ビジネスであると強調しています。これらの投資は債権が主な投資であるため、昨今の利率ではリターンがあまり得られていないことも事実として挙げています。

投資家の多くがテックスタートアップやバイオベンチャーなどに流れる中で、バフェットは変わらずコカコーラ、保険、金融、エネルギーなど、「つまらない」とされる企業に投資し続けて驚異的なリターンを得ています。

この考え方は、技術者の観点からも得るものが多いです。

ソフトウェア開発の世界では例えばプログラミング言語を選ぶ、機械学習のモデルを選ぶなどの行為はビジネスの世界でいう「投資」に近いと思います。例えば、今ではディープラーニングやビッグデータやクラウドなどの言葉が流行していますが、その中でバフェット流に「投資」をするのであれば、世の中が変わっても普遍的なものは何かという観点で見ることが大事だというのが私の信念です。例えばウェブ開発でいうならばMVCやネットワーク層の概念を理解することとか、機械学習ならば根底にある数学を知ることが、遠回りに見えながらも長期的には実を結ぶ投資だと考えています。

華やかで新しい技術にいつも流されるのではなく、つまらないけれども10年後は10倍の価値を生み出す、そんな技術を使い続けたいと思わされる手紙でした。