こんにちは、CTOの長谷川です。
学生、学者、そしてノンフィクションの作家に向けてAhrens氏が書いた書籍、「How to Take Smart Notes」(賢いノートの取り方)という本を読みました。私は仕事柄、書くという作業が多いので、物の書き方に関する本や、物書きが書くというプロセスについて書く本を読み込むようにしています。例えば、Steven Kingの「On Writing」や村上春樹の「職業としての小説家」や有名人の毎日の日課をまとめたMason Curryの「Daily Rituals」などは、ふとしたときに読み返しています。
パロアルトインサイトでも、なるべく重要な分析をするときや何か提案をするときなどは、プレゼンテーション(スライド)から入るのではなく、文章から入るようにしています。プレゼンテーションは気がつけばスライドが何枚も出来上がり、アウトプットを出しているという錯覚に陥りやすいですが、実際は中身がないものや、ロジックに穴があるものになってしまうリスクが高いです。書くことを優先することによって、初めて考えか明確になります。スライドだと読み手がある程度穴埋めをしたり意味を汲み取ってくれたりしますが、文章は書き手に全ての説明責任があるので、逃げ道がないし曖昧さもないです。また、書くことを念頭に置くことで、インプットの仕方や考え方がクリアになっていきます。
まず、冒頭での「Writing is the only thing that matters (書くことのみが重要であり、それ以外は無意味))」というメッセージに共感しました。これは特に私が強化学習を教える立場で学生の論文を採点している時に思うことです。学生の論文を読んでいると「教える立場の人間ならこれくらいは知っているだろう」とか「ここは敢えて書かなくても分かるだろう」という考えがあるのか、重要な内容を書いていないということが驚くほど多いです。書いてなければ意味がありません。
実際のノートの取り方については、Niklas Luhmann教授のSlip box法というものを提唱しています。Luhmann教授は、社会学の教授で数百の論文を発表し58冊の書籍を出版した人物で、彼がどのようにしてそれだけの効率性を発揮できたのかということを研究している人たちもいるくらいです。Slip box法の方法自体は極めて単純明快で、まずはラフな形でノートを取り、次にそのノートを推敲し最終形に仕上げる(一枚の紙として)、最後に最終形のノートをノート箱と照らし合わせて他のこれまでノートとどういう関係性があるかを考え、他のノートにリンクし、箱に保管する。これだけです。Luhman教授はこの方法で、実に9万枚のノートをSlip boxに蓄積したそうです。
魔法はこのSlipboxの中にあり、普通のノートが貯金箱ならば、Slip boxは利息が雪だるま式に膨らむ投資案件のようなものだとしています。このSlip boxを大事に育てていくことにより、これまでに気付きもしなかった繋がりや、新しい発見があるようになるそうです。私も我流ではありますが、今はこの方法でノートを蓄積していくようにしています。
他にも、「writing is non-linear(書くことは一本道ではない)」、「you’re doing it wrong if new insights become a threat to your writing (新しい発見が驚異に思えたら、それは間違った論文の書き方だ)」など、眼から鱗な教訓が多い一冊でした。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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