こんにちは。UXデザイナーのリビングストンです。外出禁止等の規制が緩和されてきていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
この数年でビジネスにおいてその有用性がを増してきた、「UXデザイン」という言葉を耳にしたことがある方は結構いらっしゃると思います。聞いたことはあるけど、具体的にはどんなデザインなのだろうと思っている方も多いでしょう。そこで今回は簡単に「UXデザインとは?」について説明したいと思います。
UX(ユーザーエクスペリエンス)という概念を提唱したドナルド・ノーマン氏は以下のように定義しています。
“User experience” encompasses all aspects of the end–user’s interaction with the company, its services, and its products(引用元:The Definition of User Experience (UX))
「UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、企業とエンドユーザーの全てのインターラクション、すなわちサービス、製品までのやり取りのすべてを網羅していること」
つまり、製品やサービスを通じて得られるユーザー体験のことです。UXデザインとはユーザーがウェブサイトやアプリを使う際の体験をファシリテイトするためのデザインになります。その体験には、使いやすさ、感動とか楽しさとか驚きなどが含まれます。ユーザーの行動や感覚といった観点から、ユーザーが製品やサービスを利用する際に、理想的かつ最適な体験を提供できるようにデザインします。
今まで人々は製品やサービスの機能性だけに注目し、「モノ」に価値を置いていました。しかし、そのような考え方に変化が見られてきました。製品・サービスそのものではなく、「コト(=一連の体験)」に、ユーザーは「価値」を置くようになりました。つまり、「モノ」を取り巻く環境やストーリーといった「コト(体験)」を生み出すデザインが今日では主流になりつつあります。単なる商品が求められているのではなく、商品を通して得られる体験が求められていると言えるでしょう。
この「コト」を生み出すデザインとして有名な例としてはスターバックスが挙げられます。スターバックスが直接売っているものはコーヒーです。スターバックスでは美味しいコーヒーが飲めますが、スターバックスがいつも賑わっているのは、コーヒー(モノ)だけでなく、スターバックスでコーヒーを飲むという体験(コト)を楽しんでいるのです。素敵な店員の対応、椅子の座り心地、洗練されたクールな空間、店内のインテリアといった、コーヒーだけでなくその周りにある「体験」を味わうために来店しているのでしょう。スターバックスは大々的に広告や宣伝をしていませんが、コーヒーという商品に素敵な「体験」という付加価値を加えるという戦略により、人気のコーヒーショップとして不動の地位を築くことができたと思います。
企業やブランドは、ユーザーが自社の製品と関わりを持つことによって感じられる価値をどのように伝えるのかをデザインしていく必要があります。これからは今までにはない新しい価値が付加されたもの、既存のものでは満たせなかったニーズを満たせるようなものを生み出さなければ、ユーザーの心をつかむことはできません。使い勝手が悪かったり、ニーズに合わなければ、ユーザーに購入または利用してもらえません。「使いやすい」、「嬉しい」とか、「楽しい」と行った体験を提供し、ユーザーに満足してもらえれば、売り上げの向上に繋がります。また製品やサービスへの共感や信頼も生まれ、繰り返し購入してくれるようになるでしょう。
先日アメリカ人の友人と話していたところ、楽天やヤフーサイトの話題になりました。その友人は、「ごちゃごちゃしたデザインで理解できない。シンプルにしてほしい。」と嘆いていました。確かに日本的なデザインだと思います。UXは万国共通と思われがちですが、そうとは限りません。必ずしも美しく理路整然としたデザインが優れたUXになるわけではありません。文化、慣習、生活様式、宗教など様々な面を考慮してユーザーの特性を深く知り、ニーズを丁寧に分析し、求められているものは何かを徹底して考えることにより、意図性のあるデザインを作成することが可能になります。このように地道な積み重ねをしてデザインしていくことが優れたUXに繋がるのです。
今後一層、製品・サービスを通してどのような経験が得られるかが重視されるようになる一方、ユーザーのニーズも時代とともに変化していきます。変化するユーザーの立場や視点から、常に「新しい体験価値」を作り出し提供するUXは欠かせないものになってくるでしょう。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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