今週の注目カンパニー
水素燃料電池自動車を開発している会社の一つに、ニコラ社があります。今年の夏にはフォードモーターズよりも高い企業価値がついたスタートアップで水素トラックの製造に特化しています。先日、ショートセラーヘッジファンドが発表した調査内容で技術の誇張と詐欺の疑いを指摘されました。ファウンダーのMilton氏は事実無根を主張するもののその数日後に会長職を辞職。結果的に株価が一気にピーク時より80%も下がってしまいました。
ニコラのビジネスモデルの鍵となるのは、いかに経済効率よくグリーン水素を生成できるかです。グリーン水素はCO2フリーの水素で、それの製造には再生可能エネルギー由来の電力を利用して水を電気分解して生成する必要があります。ニコラは、このグリーン水素の製造コストを1キロあたり2.47ドルで生成できると投資家へ説明。しかしアナリストはそれに対して「非現実的だ」と指摘しました。(ニコラは1キロワットあたり3.5セントで再生可能エネルギーを購入と想定、しかし産業顧客はグリッド電力に平均7セントを支払っており、商業顧客に限っては約11セントを支払っているとのこと)水素トラックだけではなく、水素ステーションを含めたインフラ作りをビジョンとしてかかげ、GMなども投資しているだけあり、今後も注目されます。
ちなみにニコラは今年の夏、SPACs(特別買収目的会社)による買収という形で上場を果たしました。最近のスタートアップの上場手段としてよく耳にするSPACsですが、通常の新規株式公開(IPO)と異なりロードショーやそれに伴うデューデリジェンスなどがあまり必要ないとのことで、今後SPACs規制なども強化されるのでしょうか? |