アマゾン最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏が2月2日(米国時間)、6月末で現職を退任することを発表した。2020年、米議会に呼び出され、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反の可能性に関して何回も質問を浴びせられたことは記憶に新しい。バイデン政権になり、今後は巨大IT企業に対する規制がより強化され、反トラスト法に関する訴訟も増えると予想される中、この決断は理解できると考える人も多い。
後任ジャシー氏の興味深い職歴
注目すべきは、後任として白羽の矢が立ったアンディ・ジャシー氏である。彼は03年にベゾス氏とゼロからクラウドサービス「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」を立ち上げ、16年にAWSのCEOになった。
そして今や、AWSをアマゾン全体の利益の52%を稼ぎ出すまでに成長させた。非常に名の知れた経営者の一人である彼の職歴は、とても興味深い。
ジャシー氏はハーバード大学を卒業した後にMBIという収集品を扱う会社で数年働き、のちにハーバードビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得。1997年にアマゾンに入社した。
当初はマーケティングマネジャーとして入社したが、その後、03年にベゾス氏とAWSの構想を練り始め、06年に共にAWSをスタートさせてからは、その運営を担ってきた。
原点は社内システムの構築
AWSの前身となる社内システムの構築は2000年代に始まった。
当時、ベゾス氏は米小売り大手ターゲットや英小売り大手マークス&スペンサーのような第三者の小売企業が、アマゾンのシステム上にオンラインショッピングサイトを構築するのを支援する「マーチャント・コム」というサービスを始めたいと考えていた。
しかし、ベゾス氏のチーフ・オブ・スタッフ(参謀長)だったジャシー氏は、計画を実現するために必要な社内基盤がないことを問題視した。具体的には、社内でのアプリ開発工程に無駄が多いことなどだ。社内で縦割りになった部署が独自にデータベースを作るのに何カ月もかかり、各プロジェクトのためにインフラ構築をしていたため、非効率的だった。
そこでジャシー氏は、誰もがアクセスできる共通のインフラを作るプロジェクトに着手したのである。
社内の問題解決が一大事業に成長
プロジェクトの過程で、各チームはデータベースやストレージ(データを保管しておくための記憶装置)などのインフラサービスを一元化して運用するノウハウを培った。また、セキュリティーの面でも、安全で費用対効果の高いデータセンターを拡張性が高い形で設計、運用する手法を培っていった。
アマゾンの電子商取引サービスのように利益率の低いビジネスでは、システム設計を可能な限り無駄なく効率的にするやり方が求められたためだ。
そして、社内の問題を解決するために始まったこのプロジェクトこそが、企業にクラウドのインフラサービスを提供するという現在のAWSのビジネスモデルのアイデアの礎となったのである。
アマゾンの今後の軸はAWSか
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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