今週の注目カンパニー
政府系のビッグデータ解析を手掛ける米パランティア・テクノロジーズとIBMがAI関連事業でパートナーシップを締結し、パランティアの株価が急上昇を遂げたことが話題になりました。
この提携では、ハイブリッドクラウドや人工知能(AI)、データ処理、運用テクノロジーを融合した企業向け新製品の開発が狙いとされています。
背景には、IBMがスポンサーを務める調査により、対象とされた企業*の75%近くが「AIを検討している、または導入している」と答えている一方で、「AI導入の障壁」として、37%が「AIに関する専門知識が限られている」点を挙げ、31%が「データの複雑さやサイロ化の増加」を挙げたことなどがあります。(*調査対象企業は米、EU、中国の合計4,514社)IBMは此度の提携により、こういったAI導入の障壁を取り除くことを目指しているというわけです。
IBMはワトソンの失敗事例がここ数年目立っており、一番期待されていた医療業界でも、Overpromise, Underdeliver(大きな約束をして結果は小さいこと)だったと書かれていたこともあります。AI事業での挽回を図りたいIBMと、CIAや不法移民を摘出するICE(米移民捜査当局)などの政府系AI案件以外のB2B市場での収益拡大をしたいパランティアが組むことでWin-Winになる可能性があると思います。
これは私の予想ですが、シリコンバレーの数少ないトランプ支持者だったピーター・ティール氏がパランティアの創業者であり、ティール氏の元で働いていたマイケル・クラトシオス氏がトランプ政権下でアメリカのCTOを務め、アメリカのIT政策の指揮を取っていました。(それについてプレジデントオンラインに私が寄稿した記事はこちら)バイデン政権に移行し、移民政策も含め色々なことが見直される中で政府系の案件に大きく依存しているパランティアのビジネスモデルはリスクがゼロだとは言えません。B2B市場に進出するためにもIBMとの提携は必要であったのではないでしょうか。 |