今週の注目カンパニー
不祥事で解散にまで追い込まれた医療ベンチャー「Theranos(セラノス)」についてご存じでしょうか。ファウンダーであるエリザベス・ホームズ氏は2018年に起訴されており、その裁判がいよいよ始まろうとしており注目が集まっています。
セラノスの事業内容は、被験者の指先から採取した少量の血液を診断センターに輸送し、自社開発の診断器「エジソン」を使って迅速に検査結果を出すというもので、1滴の血液で30種類の検査項目を実施できるというものでした。この画期的な血液検査技術の開発で投資家から資金を得ていました。
2014年6月に約3億5千万ドルの資金調達をし、時価総額が約800億ドルになった際「自力でビリオネアになった最年少の女性」としてホームズ氏も非常に注目を集めていました。
しかし、後にWSJで疑惑を指摘する記事が出て以降、アメリカ食品医薬品局(FDA)などの調査により、自社技術を使用した検査は一部にすぎず、大半を他社の検査機器などで行っていたことが指摘され2セラノスは臨床検査の免許を剥奪されるなどがあり、2018年には解散にまで追い込まれました。
一方でセラノス社が試みた「全国展開をしている大手ドラッグストアと提携し、全米数十カ所の店舗に血液採取センターを設置し、血液検査を簡易化する」という商業モデル自体は、コロナのワクチン接種においても活きた重要なアプローチにもなりました。また、新しい血液検査のテクノロジーを提供するスタートアップが生まれることにもつながっています。 |