パロアルトインサイトCEO石角友愛が読み、お勧めする「AI」や「DX」にフォーカスを当てた書籍を紹
紹介した本を通してAI/DX時代の知識・キャリア・思考法を伝えてまいりますので、DX/AI時代を生き抜く戦略を一緒に磨いていきましょう。
著者:中島 聡
出版:文響社
この本は超ベストセラーになっていたのですでに読んだ方もたくさんいらっしゃると思いますが、中島さんはアメリカマイクロソフト社でwindows 95の基本設計を担当されていた、業界では伝説とされているプログラマーです。PCの右クリックやダブルクリック、ドラッグ&ドロップの概念を作った方で、ビルゲイツと一緒に仕事をしたときのエピソードも紹介されています。そんなすごい経歴を持った方が大きな成果をあげるための仕事の秘訣、プロダクティビティ、どう納期を守って仕事をするかということを非常に具体的に書いております。私もこの本を数年前に読んで本当に感銘を受けました。パロアルトインサイトでも新しくチームにジョインする方々にお勧め書籍としてこの本が1冊入っているぐらい、この本は私の仕事の仕方という意味では大きな影響を与えた本です。
期限を守る秘訣
皆さんも仕事をしていて期限間に合わないと焦ることがあると思いますが、それがなぜ間に合わないのかということをものすごく本質的に、ロジカルに書いてあります。中島さん曰く、
期限のうち、与えられた時間の最初の2割で仕事の8割を一気に終わらせてしまうというのが期限を守る仕事の成功の秘訣です。
与えられた時間の最初の2割で仕事の8割が終わらないのであれば、期限を延長した方がいいということです。期限に間に合わないのは時間配分の問題なんですね。英語でも、Under promise over deliver、または Over promise under deliver という言い方がありますが、ビジネスではできもしないのにできると伝えるのは良くないですし、できない場合は最初からできないと伝えた方が信頼も獲得でき、評判も維持できます。できもしないのにできると伝えて納期に間に合わないぐらいなら、最初からアンダープロミス、できないと言って動きながらできてしまう方がずっといいと思います。
プロフェッショナルな朝の習慣
1日の使い方にも、最初の2割で8割の仕事を終えるという2:8の法則は当てはまります。本で書かれているのが、中島さんは朝起きたらまず水も飲まずに自分の仕事の机に向かい、そこで一気に界王拳20倍発揮してその日のうちにやらなきゃいけない仕事の8割を一気に終わらせてしまうと書いてありました。全然関係ない分野ですが私は村上春樹さんの本が好きで、「走ることについて語るときに僕の語ること」という本(別にランナーじゃなくてもぜひ皆さん読んでいただきたい本です。)を過去10回は読み返しております。その本の中で村上春樹さんが、職業小説家としてのコツとして、どんなに書きたくない時でも必ず朝パソコンの前に向かう、テーブルの前に向かう、ということを習慣にしており、特に朝の集中力が高い時間にとにかく書くというくせを体に覚えさせる、と話していましたが、中島さんの成功の秘訣に通ずるものがあると思います。プロとアマチュアの違いは何かというと、やりたくない時こそその場で仕事をしデリバーできるか、その現場に行ってデリバーできるか。自分の気分が乗らないときにこそちゃんと約束を守ってデリバー出来るかどうかが重要だと思いますので、やはり中島さんの仕事の仕方はとてもプロフェッショナルだなと私は思います。
全ての仕事は必ずやり直しになる
皆さんの中には、すごく時間をかけ、練りに練ったにも関わらず企画プレゼン資料が結局ボツになってしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。中島さんの本の中の印象的な1節として、「全ての仕事は必ずやり直しになる」と書いておりました。プログラマーという仕事の特徴だと感じる方もいるかもしれませんが、多少のバグを残した状態でもまず大枠を作ってしまうことが大事だ、という意味です。例えば、中島さんがwindows 95を開発した時はスピードが求められる中、3500個のバグを残したまま製品化したと書かれています。もちろん深刻なバグは修正され、ユーザーが通常使用する分には問題ないレベルで納品したということです。基本的に仕事っていうのは必ずやり直しになると考えて、特に最初の仕事の8割では細かいところは置いておき、全体像、大枠をまず先に作ってしまうという仕事の仕方はすごく参考になると思います。
私が肝に銘じていること
私もたくさんの記事や連載などを執筆する際や、「いまこそ知りたいAIビジネス」や「いまこそ知りたいDX 戦略」など執筆していた際もそうですが、実際に文章を書こうと思っていざパソコンの前に立つと色んな事が気になってしまいます。例えば、「いまこそ知りたいAIビジネス」で紹介したスティッチフィックスというAIのスタートアップの紹介する文章を書いている時、そのスタートアップは創業何年だったかということや、社長の名前は?と、文章を書いているうちに細かいことが気になってしまいました。しかし、そこでいちいちブラウザを立ち上げて検索してしまうと仕事は絶対終わりません。ですから、一度文章を書き始めたらどれだけ文法が正しくなくてもとりあえず最後まで書き切ってしまう、ということを私は肝に銘じて執筆しております。文法や細い情報は後から修正すれば良いのです。大枠を8割といかなくても7割作ってしまうという仕事の仕方は、その後の仕事がだいぶ楽になります。読者の皆様は様々なお仕事をされてると思いますが、この大枠をまず作ってしまうという方法は、プログラマー、執筆の仕事関わらず、すべての仕事に言えることだと思います。
中島聡さんの「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」、ぜひ読んでみてください。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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