今週の注目カンパニー
米国コンピューター学会が毎年授与する、計算機科学分野で顕著な業績を上げた人物を称えるチューリング賞と並び、「AI界のノーベル賞」ともいわれる「AAAI(トリプルエーアイ)」が毎年行っている「AAAI Squirrel AI Award」という表彰をご存じでしょうか。AAAIは1979年に設立された、人工知能の研究者、実務者、教育者を対象とした国際的な科学学会です。
今年の表彰では、人間がAIの内部を見ることを可能にし、社会的責任を満たす「解釈可能なAI」を提唱し、開発・研究しているデューク大学のシンシア・ルディン教授が受賞し、近く100万ドル(日本円で約1億4000万円)の賞金を受け取るとのことです。
ルディン教授の最初の応用プロジェクトは、ニューヨーク市の電力供給を担うエネルギー会社、コン・エジソン社とのコラボレーションで、機械学習を用いて電気回路の劣化や過負荷による爆発の危険性があるマンホールを予測するものでした。しかし、彼女はすぐに、配車担当者の手書きのメモや古い時代の会計記録を扱うという課題に直面すると、例え学術的に発表された新しい機能をコードに追加してもパフォーマンスを大幅に向上させることができないことに気が付きました。
そこで、古典的な統計学の手法でモデルの精度を上げ、データを扱い続けることでデータへの理解を深めていきました。予測モデルがどんな情報を使用しているかの理解ができれば、エンジニアに有益なフィードバックを求めることができるためです。そして、このことでプロセス全体が改善されたといいます。
ルディン教授の研究は、リスクの高い領域におけるAIシステムの透明性の重要性を強調しており、AIを倫理的に利用する研究の重要性が高まっています。
正確で公正で偏見のない、透明性が高く解釈可能なモデルが浸透すると良いですね。 |