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メタ学習とマルチモーダル:AIを人間に近づける挑戦
2022/01/19 ブログ, The Insight 
by kohei 

メタ学習とマルチモーダル:AIを人間に近づける挑戦

AIには人間に及ばない部分がまだ多くありますが、その差を埋めるための研究が進められています

今週のテーマ:技術開発

シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回はAIを人間に近づけるための挑戦として、「メタ学習」と「マルチモーダル」という2つのアプローチをご紹介します。

こんにちは。The Insight編集担当の嶋崎です。シンギュラリティや、「AIは人間を超える日がくるのか?」という漠然とした不安や好奇心を持っている方は多いと思います。私もかつてはその一人でした。AI研究者の中には、より人間の思考法や学習法に近づけた形を再現するという試みをする動きも多くあります。認知科学や心理学も重なる分野ですが、今回は、学ぶということは何を意味するのか?学ぶ方法を学ぶことで効率的に学べるようになるのではないか?などをあえてメタなレベルで考えてみたいと思います。

 

 

論文データ:
今回のディスカッション対象の論文をご紹介します。

タイトル:Dataset Meta-Learning from Kernel Ridge-Regression
著者:Timothy Nguyen, Zhourong Chen, Jaehoon Lee
掲載サイト:arXiv
発行日:2021年5月22日
引用数:
URL:https://arxiv.org/pdf/2011.00050.pdf

この記事から得られる3つのナレッジ

・メタ学習とは何か?その必要性
・Googleが発表したメタ学習アルゴリズムの要点
・マルチモーダルの概要とその具体例

 

目次

人間に近づけないAI

メタ学習:学習方法を学習する

  画像認識におけるメタ学習

マルチモーダル:複数種類の入力情報を利用する

  防犯に応用されているマルチモーダル

AIビジネスデザイナーのワンポイントアドバイス


人間に近づけないAI

近年、AIは急速に進化していますが、まだまだできないことが多いのが現状です。2010年代には「AIが人間の仕事を奪う」などと世間で騒がれました。しかし2022年現在、「予想していたよりもAIは人の代わりができていない」と感じている方は多いのではないでしょうか?

AIは特定の領域では人間をはるかに上回る能力を発揮するものの、その能力の範囲は限られていました。これまでのAIの課題例として、以下の2つが挙げられます。

これまでのAIの課題

これらの課題があるため、人間なら誰もが簡単にできるような仕事でも、AIにはできないままになっていたのです。AIのこうした限界を打開するための研究が進められており、AI研究の中でも注目度の高い分野となっています。

今回ご紹介するのは、「AIを人間に近づけるための研究」の2つのアプローチである「メタ学習」と「マルチモーダル」です。それぞれが上記の2つの課題に対応しているので、事例を交えつつ順に詳しく解説します。

メタ学習:学習方法を学習する

メタ学習(Meta-Learning)とは、「学習方法を学習する」という意味です。「メタ」は、目にする機会が多い言葉かと思います。Facebookが社名変更した「Meta」や、メタバースの「メタ」と同じ言葉であり、「高次の〜」「〜を超える」といった意味を持ちます。つまり、メタ学習は「より高い視点で学習する」といったニュアンスです。

人間は高い視点から学習対象を見ることで、他の分野との関連性が発見できます。そのため新しい分野を学ぶ際に、過去に学んだ別分野の知識や考え方を使いながら、効率よく学習を進められます。AIでも同じことを実現しようとするのが「メタ学習」なのです。

これまでのAIは、AIが学習しやすいように特別に準備したデータである「教師データ」がなければ、十分な学習ができず、パフォーマンスを発揮できませんでした。それに対してメタ学習では、AIに学習方法を学ばせることで、少ないデータ数や下準備がされていないデータからでも、十分に学べるようになることを目指します。

画像認識におけるメタ学習

メタ学習について、Googleの研究者が2021年に発表した論文を紹介します。この研究では、画像認識についてのメタ学習アルゴリズムの成果が発表されました。画像に何が写っているかを判別する「画像認識」では、教師データを大量に読み込む必要があり、コンピュータに大きな負担がかかります。そこでこの論文では「dataset distillation(データの蒸留)」という新しいアプローチが提案されています。大量の画像データを「カーネルリッジ回帰(KRR)」という数学的手法を用いて処理することで、AIが理解しやすい形に変換するのです。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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