DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」
各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。今回の「Level 5 by Palo Alto Insight」の概要を文章で読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。
DXを通した産業革命の重要性をより多くのみなさまに伝えるため、立ち上げた企画です。
この番組は、石角と長谷川、山崎というレギュラーメンバー3人でお伝えしていきます。石角と長谷川はハーバードビジネススクールの同期で、共にパロアルトインサイトを立ち上げました。そして、同スクールの先輩である山崎さんにも、この番組に毎回参加していただきます。
石角友愛(いしずみともえ) パロアルトインサイトCEO
長谷川貴久(はせがわたかひさ) パロアルトインサイトCTO
山崎壯(やまざきつよし) 日本を代表する投資会社・インテグラル株式会社のパートナー
今回は「2022年はこれが来る!」という予測を、長谷川と山崎が語りました。
技術の転換には一般的に5年ほどかかるもので、転換の終わりに近づいたものほど予測は簡単です。そこで以下の3つの段階にある技術について、長谷川はそれぞれ1つずつ予測を挙げました。
最後の1年:ほぼ完成しており予測が簡単
中間の1年:予測しやすさは中くらい
最初の1年:発展が始まったばかりで最も予測が難しい
長谷川は現在、テスラの完全自動運転のベータ版を体験しています。本当にすごい技術だと実感する一方で、、まだ少し危なかっしい部分もあると感じています。いまテスラは、アメリカ中のユーザーからどんどんデータを集めているので、さらに自動運転の技術は改善されていくでしょう。
AppleシリコンはAppleが独自に開発したICチップで、高性能でありながら省電力なのが特徴です。AIの分野では、これまではクラウドで処理しなければいけなかったAIの機械学習が、手元のノートパソコンでできるようになってきています。これからAppleシリコンは、さまざまな分野の発展に役立てられていくでしょう。
主要な通貨であるイーサリアムが「Proof of Work」から「Proof of Stake」に移行することで、非難を集めていたマイニングによる電力消費の問題が解決されそうです。さらに「Web3」による分散型のSNSの発展にも期待しています。ただ、仮想通貨全体が具体的にどういった方向に進んでいくかは、予測が難しいです。
<山崎からのコメント>
日本では、ビットコインなどの仮想通貨を「投機対象」と見ている人が多い印象があります。海外のようにテクノロジーの観点から見る人が少ないのは、残念ですね。
山崎は買収した企業の経営支援を行って企業価値を上げ、その後売却するという形の投資をしています。そうした活動の中で山崎が知って注目しているのが、サンデン・リテールシステム株式会社の冷凍自販機「ど冷えもん」です。この商品は以下のような飲食店・小売店の課題に対応するために開発されました。
コロナの影響による営業時間の短縮
非接触の要請
人手不足
「ど冷えもん」は、さまざまな形状の食品を販売できるのが特徴で、飲食店や小売店が店先に設置することを想定しています。最初は「中華料理屋さんが冷凍餃子を売る」といった、限定された用途しか考えられていませんでした。しかし「ど冷えもん」を発売したことで、お客さんがどんどん新しいアイデアを出して盛り上がっているのが、おもしろいところです。たとえば以下の導入事例があります。
ラーメン
海鮮丼(築地):朝以外の時間帯でも食べられる
肉(精肉店):一晩に数十万円の売上
今後は「ど冷えもん」を店先以外の場所にも設置することも考えられます。複数台設置してサプライチェーンを作り、商品の補充も含めた保守作業で稼ぐビジネスモデルも構築可能です。販売データを収集できるという強みもあるので、2022年はさらに伸びると山崎は注目しています。
<石角からのコメント>
販売データを収集して最適化できればまさにDXで、大きな可能性がありそうですね。以前に飲料メーカーの方とお話した際に「飲料の自販機はデータが取りにくいせいで、DXが進んでいない」とお聞きしたことがあります。立地条件や商品の品ぞろえを、ニーズに応じて変更したら、「ど冷えもん」はさらにおもしろくなりそうです。
「Level5」では毎回、おすすめのコンテンツをご紹介していきます。今回は長谷川がおすすめする本で、Judea Pearl(ジュディア・パール)先生の「The Book of Why」です。コンピュータサイエンスの偉大な研究者である著者が「なぜその結論になるのか?」という「因果推論」について語った本です。
パロアルトインサイトでは、AIの出した結論に対してクライアントから「どうしてその結論になるの?」といった質問を多くいただきます。人間が見ても結論までの過程がわからないので、AIはよく「ブラックボックス」と言われます。
本書で印象的なのが「データだけでは、なぜかはわからない」という言葉です。著者はAIやコンピュータ任せにするのではなく、人間が解釈することの重要性を強調しています。かみくだいた事例をもとに語られているので、読み物としてもおもしろい本です。
決定には責任が伴うものですが、AIに責任を取らせることはできません。最後に決めるのは人間だからこそ、「なぜ」という問いかけが重要です。石角は2022年は「納得感」がキーワードになると考えています。現場の人に肌感覚として「納得感」を持ってもらえなければ、AIもDXもなかなか広まっていかないでしょう。
この番組は「進化していく最終形を目指そう」という思いで「Level5」と名付けました。これから毎週木曜日の朝に配信していくので、お楽しみに!
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事及び東京都AI戦略会議 専門家委員メンバーに就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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