こんにちは。パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナーの石角友愛です。
先日、マイクロソフトがゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを8兆円近い価格の現金取引で買収することを発表し話題になりました。現代のゲームにおける市場規模が約20兆円(2021年1758億ドルと推計/Newzoo調べ)であることを踏まえると、8兆円の現金買収がどれだけすごいことかは容易に想像できます。
この買収の背景には、マイクロソフトによるメタバース市場への参入意欲などがあることが考えられます。一方、アメリカでメタバースと言えば、オンラインゲーム企業Roblox(ロブロックス)が注目されていることをご存知でしょうか。
2022年2月15日に発表されたRobloxの直近2021年第4四半期(通期)決算によると、同社の4Q売上高は前年同期比で83%増えて5億6800万ドル(約653億円)、2021年度通期で19億ドル(約2184億円、同108%増)となったほか、デイリーアクティブユーザー数(DAU)も33%増の4950万人に達したということです(注:研究開発費などを積み上げたことから、通期の営業損失は4億9500万ドル/約569億円の赤字)。
しかし、投資家の期待値を上回らなかったことから、株価は26%ダウン(現地時間2月16日時点)してしまいました。良くも悪くも、注目されているメタバース企業です。
同社CEOのデビッド・バスズッキ(David Baszucki)氏は、CNBCの取材に対し、株価の下落に関して次のように説明しました。
なぜRobloxが高い注目度集めているのか。まずは「Robloxとは何か?」について説明したいと思います。
カリフォルニア州サンマテオに本拠を置くRobloxは、オンラインゲームプラットフォームを運営しています。具体的には、ユーザーが独自にゲームを開発することができ、また他のユーザーがそのゲームで遊べるような仕組みになっており、「ゲーム版YouTube」とも呼ばれます。
YouTubeにたとえられる理由は、Robloxのビジネスモデルにあります。
Robloxで展開するゲームを開発したデベロッパー(開発者)には相応の収益が入る仕組みになっており、ユーチューバーのインセンティブと似た構造になっているからです。
直近の投資家への手紙を読むと、Roblox開発者コミュニティは、2021年に5億3830万ドル(約619億円)を獲得し、目標を上回ったとのことです。
この手紙には次のような一文があります。
つまり、開発者コミュニティを拡大することがRobloxにとってはとても重要なのです。
そんなRobloxですが、2004年にカナダ人のベテランエンジニア2人(バスズッキ氏とエリック・カッセル氏)によって作られ、2006年にリリースされました。
リリース当初はマーケティングなどもしていなかったため注目されていなかったのですが、パンデミックによるゲーム業界の急激な需要増加をきっかけに一気に有名になりました。
月間アクティブユーザー数は2020年7月時点の発表で1億5000万人以上います。特筆すべきは、13歳未満の子どもたちの数です。
Robloxでは、インスタグラムやスナップチャット等の一般的なソーシャル・プラットフォームやWorld of Warcraftなどの世界的な人気MMO RPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)において、利用最低年齢とされている13歳未満のユーザーが54%を占めています(ブルームバーグ報道)。
これは、同社が子どもたちにとって非常に高い安全性を担保できている証拠であり、またそのような実績から生まれた「壁のある庭」(walled garden、インターネットの闇の部分から保護された場所)という評判を大切にしている結果でもあります。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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