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ニューラルネットワークでAI時代を開拓したヒントン教授
2022/03/02 ブログ, The Insight 
by kohei 

ニューラルネットワークでAI時代を開拓したヒントン教授

企業オークション価格4400万ドルまで吊り上げた彼のAI論文

今週のテーマ:技術開発

パロアルトインサイトの石角です。2021年に発売されて話題を呼んだノンフィクション『GENIUS MAKERS ジーニアスメーカーズ Google、Facebook、そして世界にAIをもたらした信念と情熱の物語』の主人公とも言えるヒントン教授にフォーカスを当て、AI技術や彼の教え子などAIの進歩に欠かせないポイントをご紹介します。

『GENIUS MAKERS』の冒頭を飾る、会社売却のストーリーはとても面白いので、皆さんもぜひThe Insight を読んだ後は『GENIUS MAKERS』も手に取ってみてください。

シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回は2021年に発売されて話題を呼んだノンフィクション『GENIUS MAKERS』と、その中でも取り上げられたディープラーニングの第一人者、トロント大学のGeoffrey Hinton(ジェフリー・ヒントン)教授についてご紹介します。

ヒントン教授を取り上げたポイント
深層学習の第一人者であり、多数の論文や人物へ影響を与え、AI技術を大きく前進させた人物のため、知識としてご紹介したいため。かつ、ジーニアスメーカーで紹介されているヒントン教授のスタートアップの買収劇から、いかにトップレベルのAI研究者を巨大IT企業が求めているかが伺え、AIビジネスのダイナミックさがわかる出来事だと考えているため。
この記事から得られる3つのナレッジ
・ヒントン教授から見るAI開発の歴史
・主な研究内容と功績
・今後のAI研究への期待と教授からのアドバイス

この記事に登場する技術キーワード

目次

イントロダクション

ヒントン教授の経歴〜AI冬の時代もひたむきに研究

DNN Reserchの巨額買収劇から見る教授の影響力

代表的な研究成果:バックプロパゲーションとオートエンコーダ

ヒントン教授の世界的な評価

「ディープラーニングのゴッドファザー」と呼ばれる所以

AIビジネスデザイナーのワンポイントアドバイス


イントロダクション

『GENIUS MAKERS (ジーニアス・メーカーズ) Google、Facebook、そして世界にAIをもたらした信念と情熱の物語』は、「ニューヨーク・タイムズ」のテクノロジー記者であるケイド・メッツ氏が500人以上への取材をもとに、AIが見向きもされなかった時代から現在のAIブームまで、AI研究の歴史と研究者たちの奮闘を綴ったノンフィクションです。

ロサンゼルス・タイムズ、フォーブス、ワシントンポストなど各紙で高く評価されていて、『イーロン・マスク 未来を創る男』の著者であるアシュリー・ヴァンスは「根気強い報告と心躍る記述によって、本書は現代における最も重要な物語のひとつとなっている。AIを理解するために本を読みたいと思うのなら、本書はまさにそのための一冊だ」と賞賛しています。

この本の冒頭に登場するのが、ディープラーニングのゴッドファザーと呼ばれるヒントン教授です。昨今の第3次AIブームの火付け役となった「ディープラーニング」を語るうえで、教授はなくてはならない存在です。

 

ヒントン教授の経歴〜AIの冬の時代もひたむきに研究

ジェフリー・ヒントン氏は1947年にイギリスで生まれました。70年にケンブリッジ大学で実験心理学の学士号、78年にエジンバラ大学で人工知能の博士号をそれぞれ取得。カーネギーメロン大学の教員などを経て、87年にトロント大学に移りました。現在はコンピューターサイエンス学部の名誉教授を務めています。Googleのフェロー、ベクター研究所の主任科学顧問でもあります。
(参照:http://www.cs.toronto.edu/~hinton/bio.html

ヒントン 教授と日本との関わりは、2019年に本田賞(1980年に創設された科学技術分野における日本初の国際賞)がジェフリー・ヒントン博士へ授与されました。
(参照:https://www.honda.co.jp/news/2019/c190920.html

ヒントン教授は早くからニューラルネットワークに着目していました。ところが1980年代はシンボリックAI(*)が主流で、ニューラルネットワークは実現性のないものと考えられていました。

シンボリックAI

人間である技術者が決めた非常に特殊な指示に従って行動するAI。その指示とは、遭遇すべきあらゆる状況において、機械がすべきことをすべて明確にしている個々の規則を指す。
シンボリックAIと名づけたのは、数字や文字といった記号の個別の収集に関して、特定の作業を行う方法を機械に示したため。(引用: GENIUS MAKERS)

AIブームが去り、AI研究自体が冷遇された冬の時代もありました。そんな中でも、ひたむきに研究を続けた結果、1986年にバックプロパゲーションアルゴリズム、**2006年にオートエンコーダ(自己符号化器)**の開発に至ります。

またその功績として、最もよく知られているのが2012年の画像認識コンペティション(ILSVRC)における成果です。ディープラーニングの手法を用いたモデル「AlexNet」を使い、画像誤認識率16.4%という圧倒的な結果を出し、優勝したのです。それまでのコンペティションの優勝者の誤認識率が25%程度だったことを考えると、驚異的な数値です。


(画像引用:https://medium.com/coinmonks/paper-review-of-alexnet-caffenet-winner-in-ilsvrc-2012-image-classification-b93598314160

 この成果は瞬く間に研究者達に知れ渡り、これをきっかけに画像認識分野の研究が急速に盛り上がり、技術は飛躍的に向上しました。ヒントン教授がこれまで積み上げてきた研究成果は、画像検索や音声認識、翻訳などに活用され、私たちが日常的に使う多数の商品にも生かされています。

DNN Reserchの巨額買収劇から見るヒントン教授の影響力

 AI研究におけるヒントン教授の存在の大きさは、数値面からも見て取れます。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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