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これまで新しいビールの製造は、人間の専門知識のみに頼ってきましたが、AIが近い将来、ビール開発のために活用される可能性があります。クラフトビールの醸造が爆発的に増加したにもかかわらず、醸造プロセスを理解し最適化するための機械学習アプローチを探求した研究は、これまでありませんでした。異なる領域にあるオブジェクトの表現間のマッピングを学習することは、機械学習における課題の1つとされているからです。
ワシントン州にあるパシフィック・ノースウエスト国立研究所のデータサイエンティストであるエルリン・エイトン氏は、製造工程に行く前のレシピの段階からAIが完成したビールの属性を予測するのにも役立つといいます。例えば、最終的な色やアルコール度数、苦味などは、原料選択の時点から情報を得ることができ、もし苦みが足りなければ、事前に調整することが可能になると言います。
研究チームは、世界中のプロの醸造所と、個人の醸造所の双方から、約15万を超えるビールのレシピを収集し、AIを用いて生成されたレシピは10,000にも上りました。
生成されたレシピは斬新なものが多く、材料のコストや技術的側面などのさまざまな要因に基づいて、プロの醸造業者にレシピの作成の実現可能性を評価させたところ、AIで生成されたレシピの3分の1弱が、本番環境に適していると見なされたといいます。
こうして作られた深層学習モデルは、新しいビールの開発に3カ月以上かかることも多いビールメーカーにとって非常に有用なツールになると言われています。
パロアルトインサイトでも、ものづくり企業の方から、製造や開発、テストを繰り返す工程を省人化するためにAI活用をしたいという依頼をうけることがあります。今後、注目される領域だと考えています。
参照:AI Helps Craft New Beers |