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運転手不足に悩む運送業:AIを活用し効率化を図った海外企業事例
2022/07/01 ブログ 
by kohei 

運送業の課題をAI活用で解決した海外企業事例

パンデミックによって加速されたトラック運転手不足は、日本だけでなく、アメリカでも物流業界へ大きな影響及ぼし深刻化しています。

アメリカのウォルマートも同じくトラック運転手不足に悩み、雇用を増やすためにもトラック運転手の年収を上げたニュースが日本で一時期話題となりました。初任給の平均年収を約8万8000ドル(約1100万円)から9万5000ドル(約1200万円)から11万ドル(約1400万円)の範囲に引き上げると発表したのです(2022年4月)。

賃金を上げることで雇用を増やすことができますが、これから紹介するのはロンドンのサタリアというAIコンサルティング企業と手を組み、AI 活用したことで物流の課題を改善した2社をご紹介します。

Tesco社の物流課題の解決策:ダイナミック・スケジューリング

Tesco社はすでに社内にデータ分析能力や優れたプロジェクト管理能力がありましたが、スケジュール管理の問題を解決するために、ロンドンのAIコンサルタント会社であるサタリアに依頼しました。サタリアの最先端の最適化技術を駆使し3年間かけて、ダイナミック・スケジューリングと呼ばれるラストワンマイルの配送システムをゼロから作り上げたのです。

従来は、TescoのWebサイトで注文を受けると、1日の終わりにまとめて配送スケジュールを最適化していましたが、新しいシステムでは、注文の場所と荷物の大きさを、すでにスケジュールに入っている他のすべての注文と比較し、注文の実行可能性と空き配送枠を0.5秒以内に判定を返すことができるのです。

それにより、スケジュールは常に最新の状態で表示され、お客様へより多くの配送スケジュールの選択肢を提供することができるだけでなく、さらに、当日配達の注文や、1時間枠の提供なども可能になりました。

新システムによって配送車両の走行距離が1100万マイル以上短縮され、事業全体の燃費が5%改善されたと公表しています。

DFS 社の紙とペンでからの脱却:配送スケジュールシステム

DFS(Direct Furnishing Supplies)は50年の歴史を持つ企業で、サタリアを導入する前は、スタッフは紙とペンを使って配送のスケジュールを立てていました。注文から数週間後、家具が製造されると、電話で顧客と配送のアポイントメントを話し合っていたのです。

配送スケジュールシステム

DFSとサタリアは、4年がかりで配送スケジュールシステムを完成させたことで、お客様はオンラインで配送を予約できるようになりました。システムによりコントロールがしやすく、より柔軟な対応ができるようになったため、店舗は毎月売上記録を更新していきました。システムにより以下の改善が見られました。

 

店舗内の労働力最適化システムの見直し

さらに、DFSはサタリアと協力し、店舗内の労働力最適化システムの見直しも行いました。
過去の売上情報、マーケティング費用、天気予報など、データの入手と分析に大幅な見直しを費やした結果、売上が大幅に増加し、一部の店舗では20%近くも増加したと報告されています。また、シフトの公平性を高めるために、土曜日の午後に働くスタッフの歩合給を月曜日の午前中に働くスタッフより多くすることも可能になったのです。

サプライヤーの信頼性分析

データサイエンスと最適化のスキルを応用することで、DFSはサプライヤーの信頼性を分析することができるようになりました。倉庫への商品の到着をより正確に予測できるようになったことで、保管時間が短縮され、工場からリビングルームまでのプロセス全体がより効率的になったのです。

 

いかがでしたでしょうか。

テスコやDFSのようなケースでは、AIを導入する際に「デジタルツイン」と呼ばれる仮想モデルを構築することで、そのモデルの中でさまざま仮説検証や分析が可能になり、かつ、リアルタイムで仮想シナリオを実行することができます。それにより、財務パフォーマンス、労働条件、顧客サービスを最適化するためにオペレーションを微調整することなどさまざまは趣味レーションができるのです。

デジタルツインに関しては、下記の記事でも詳しく記載しております。ぜひご覧ください。

医療のリソース不足問題を解決するデジタルツインとは

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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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