最新バージョン「v6」の特徴とは
パロアルトインサイトの石角です。2022年6月、画像中の物体を検知するAI「YOLO」の最新バージョンが発表され、話題となりました。物体検知は車の自動運転など応用範囲が広く、AI技術の中でも研究が進んでいる分野です。
物体検知の仕組みや発展の歴史を解説しつつ、YOLOの最新バージョン「v6」についても紹介します。
シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回取り上げるのは、物体検知AIの「YOLO」です。
論文データ:
今回のディスカッション対象の論文をご紹介します。
タイトル:You Only Look Once: Unified, Real-Time Object Detection
著者:Joseph Redmon, Santosh Divvala, Ross Girshick, Ali Farhadi
掲載サイト:arXiv
発行日:2015年6月8日
引用数:
URL:https://arxiv.org/abs/1506.02640
物体検知の基本的な仕組みと、他のAIと比較した際のYOLOの特徴を紹介します。
YOLOは「You Only Look Once」の略称で、物体検知を行うAIです。2015年に最初のバージョンがJoseph Redmon 氏より発表されて以来、物体検知の最先端で使われ続けています。
そもそも物体検知とは、画像中に何が写っているかを判別する技術のことです。画像を処理するAIを開発するうえで必須となる、基礎的な機能だといえます。
物体検知を行う際には、画像中に「バウンディングボックス」と呼ばれる長方形の領域を取り出し、そこに写っている物体が何なのかを特定します。
下図はYOLOを使用して作成したバウンディングボックスの例です。
AIが「この物体は何なのか」を判別する際には、「分類器」と呼ばれる仕組みを使います。
まず、あらかじめ「ネコ」「バナナ」「人」といったタグを付けられた大量の画像を読み込み、分類器に物体の特徴を保存しておきます。
そのうえで画像を分析する際には、バウンディングボックス内の物体と分類器内の情報を照合して、「人が写っている」などと特定するのです。
2015年にYOLOが登場する以前より、R-CNN(Region based Convolutional Neural Networks)を代表例として、物体検知の手法は存在しました。The Insight の過去記事「画像認識における物体検出、その仕組みと応用例」でR-CNN を解説しているので、ぜひあわせてお読みください。
当時の手法は、以下の2段階の処理で物体検知を行うのが主流でした。
こうした処理方法が発展したことで、高い精度で「画像に何が写っているか」を特定できるようになったのです。ただし、2段階の処理は「時間がかかる」という弱点を抱えていました。
以前から物体検知の応用が期待されていたのが、車の自動運転です。車を安全に走行させるためには、周囲にある物体が何なのか、正確に見分ける必要があります。
車の走行中には周囲の状況が刻一刻と変わるため、物体検知は瞬時に終わらせることが欠かせません。しかし、従来の物体検知の手法では、リアルタイムでの対応はできなかったのです。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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