画像の枠外への拡張や動画生成を可能にする新技術
パロアルトインサイトの長谷川です。2021年に入ってから「文章から画像を生成するAI」が次々と発表されており、ホットな研究分野となっています。弊社ではDALLE2 のベータ版へ招待をもらい実際に使ってみましたが、生成されるアートの精度に驚いています。
そうした中、7月にはMicrosoftが「NUWA-Infinity」を発表しました。他社の後追いにも見えますが、このAIは先行研究にはない強みを持っています。詳しく見ていきましょう。
シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回取り上げるのは、Microsoftが開発した画像生成AI「NUWA-Infinity」です。
論文データ:
今回のディスカッション対象の論文をご紹介します。
タイトル:NUWA-Infinity: Autoregressive over Autoregressive Generation for Infinite Visual Synthesis
著者:Chenfei Wu et al.
掲載サイト:arXiv
発行日:2022年7月20日
引用数:
URL:https://arxiv.org/abs/2207.09814
NUWA-Infinityは、Microsoftが2021年に発表した「NUWA」の後継AIです。なおNUWAは「Neural visUal World creAtion」の略称です。
まずはNUWA-Infinityが、どんなことができるAIなのかを解説します。
NUWA-Infinityは、与えられた文章から画像を生成できます。
公式サイトでは、入力する文章を自分で変更しつつ、どんな画像が生成されるかを確認できるので、試してみるとよいでしょう。NUWA-Infinityが生成した画像を、各文章ごとに5パターンも見られます。
下図は「山に囲まれた海岸と青空」という文章から作り出された画像の例です。
いろいろな文章のパターンを試してみると、どの画像も文章の意味に合っており、本物の写真のように鮮明であることがわかります。
NUWA-Infinityは、与えたれた画像を枠外に拡張できます。まるで人が想像力を働かせるようにして、画像の外側にあるものを描き出すのです。
下図はクロード・モネの絵画「Garden at Sainte-Adresse」を入力として与えた際に、NUWA-Infinityが枠外の画像を生成して拡張したものです。
オリジナルの絵画にはなかった太陽などが描き足されていますが、全体として違和感はあまり感じないでしょう。あたかも最初からこのサイズの絵画であったかのように自然です。
NUWA-Infinityは、静止画だけでなく動画も生成できます。
画像を入力として与えると、その前後の時間に配置する画像を複数作り出します。そして、作り出した画像を時間に沿って並べて再生することで、動画を生成するのです。
下図では、与えられた画像を最初の状態として、NUWA-Infinityがその後の時間の画像を生成して動画にしています。
時間の経過にともなって雲が動き、日差しや影も自然に変化している様子が確認できます。
また、与えられた文章から画像を生成し、さらに生成した画像を入力として動画を作り出すことも可能です。
下図の例では、「ペッパピッグが両親と一緒に泥遊びをしている」という文章から、NUWA-Infinityが動画を生成しました。
なお「ペッパピッグ」は、アニメーション作品とその主人公の名称です。NUWA-Infinityは「ペッパピッグ」という言葉が指すものを認識したうえで、動画を作り出したことがわかります。
文章から画像を生成するAIについては、2022年に入ってから複数の研究成果が発表されており、「The Insight」でも取り上げてきました。
そうした競合AIと比較して、NUWA-Infinityは何が違うのかを解説します。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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