脳へチップを埋め込み直接コンピュータやAIとつなぐ技術
パロアルトインサイトの嶋崎です。SFの世界では、人の脳をコンピュータに接続して、仮想空間で活動したり、テレパシーのように交信したりする話がよく出てきます。これと似たことを真面目に実現しようと活動ている企業が、アメリカにあります。そしてその企業は、著名な起業家であるイーロン・マスク氏が共同設立し、マスク氏が発表するたびに話題になっています。
シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回取り上げるのは、脳に接続する機器を開発する企業「Neuralink」です。
まずはNeuralinkがどのような企業なのか、概要を解説します。
Neuralinkは2016年に設立され、2017年3月にその存在が公になりました。主な事業内容は、Brain Machine Interface(BMI)の開発です。なおBMIは、Brain Computer Interface(BCI)と呼ばれることもあります。
BMIは、脳に電極を埋め込んでコンピュータと直接つなぐ機器です(下図)。BMIを利用すると、手を動かさずに考えるだけでデバイスを操作するなど、さまざまなことが可能になります。
(画像引用:https://youtu.be/DVvmgjBL74w)
Neuralinkは2017年には約2700万ドルの資金調達を成功させました。脳科学や機械工学など、幅広い分野の最先端の人材を集めつつ、着実に事業を進めています。
Neuralinkが注目される大きな理由として、イーロン・マスク氏がマックス・ホダック氏(現在は退職)と共同設立し、現在はCEO として経営に深く関わっていることが挙げられます。マスク氏は著名な起業家で、電気自動車メーカーの「Tesla」や、宇宙開発企業の「SpaceX」が有名です。AI関連では、非営利団体である「OpenAI」の共同創業者でもあります。
マスク氏はイベントに登壇したり、Twitterで言及したりして、Neuralinkに対する人々の関心を集めてきました。また、エンジニアでもあるマスク氏は2019年にはBMIに関する論文を発表しており、Neuralinkの使用技術にも知識と関心を持っていることがうかがえます。
Neuralinkは何を目指しているのか、長期と短期の2つの面から解説します。
Neuralinkの長期的な目標は、AIの急速な進歩に人間を対応させることです。具体的には、BMIによって脳そのものをインターネットと接続し、AIを追加能力として使用することを目指しています。AIを自分自身と区別がつかない形で利用できるようになれば、人間の情報処理能力は飛躍的に高まるでしょう。
また、BMIを使用する人どうしであれば、言語を用いることなく、思考そのものを伝達することも可能になります。
NeuralinkはBMIを商業化し、誰もが利用できるようにすることで、人類の脳を進化させることを目指しているのです。ただし、こうした目標は数年で実現できるものではないため、もっと長いスパンで考える必要があります。
Neuralinkが短期的に目指しているのは、障がいや慢性疾患を持つ人のために、BMIを役立てることです。具体的には、BMIは以下の病気の対処に役立つ可能性があります。
パーキンソン病に関しては、脳に電極を取り付ける「脳深部刺激療法」がすでに用いられています。こうした治療法の延長線上として考えれば、BMIは社会に受け入れられやすいといえるでしょう。
体をほとんど動かせない患者でも、BMIを利用することで、マウスやキーボードを操作できるようになります。それによって、人とコミュニケーションを取ることや、創造的な活動を行うことが容易になるのです。
また「病気で苦しむ人を救う」という現実的な目的のためなら、人体実験に必要な規制当局の許可を得やすいと考えられます。
Neuralinkの技術的な成果の代表例として、「Link」と「V2」を紹介します。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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