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イーロン・マスクの発言が話題「Neuralink(ニューラリンク)」
2022/09/07 ブログ, The Insight 
by kohei 

イーロン・マスク氏の発表が話題となる「Neuralink(ニューラリンク)」とは

脳へチップを埋め込み直接コンピュータやAIとつなぐ技術

今週のテーマ:技術開発

パロアルトインサイトの嶋崎です。SFの世界では、人の脳をコンピュータに接続して、仮想空間で活動したり、テレパシーのように交信したりする話がよく出てきます。これと似たことを真面目に実現しようと活動ている企業が、アメリカにあります。そしてその企業は、著名な起業家であるイーロン・マスク氏が共同設立し、マスク氏が発表するたびに話題になっています。

シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回取り上げるのは、脳に接続する機器を開発する企業「Neuralink」です。

💡この記事から得られる3つのナレッジ
・Neuralinkの短期的・長期的な目標
・技術的成果である「Link」と「V2」とは何か
・Neuralinkが過去に行った発表の内容
📖このテーマを選んだポイント
社会に大きなインパクトを与える可能性のある最新技術を開発中で、話題を集めている企業であるため。
📖この記事に登場する技術キーワード
  • BMI(Brain Machine Interface)
  • Link:脳に埋め込む装置
  • V2:外科手術用ロボット

目次

Brain Machine Interface(BMI)を開発する企業

Neuralinkの長期的・短期的な目標

技術的な成果である「Link」と「V2」

Neuralinkによる成果の発表

AIビジネスデザイナーのワンポイントアドバイス


Brain Machine Interface(BMI)を開発する企業

まずはNeuralinkがどのような企業なのか、概要を解説します。

Neuralinkの設立と事業内容

Neuralinkは2016年に設立され、2017年3月にその存在が公になりました。主な事業内容は、Brain Machine Interface(BMI)の開発です。なおBMIは、Brain Computer Interface(BCI)と呼ばれることもあります。

BMIは、脳に電極を埋め込んでコンピュータと直接つなぐ機器です(下図)。BMIを利用すると、手を動かさずに考えるだけでデバイスを操作するなど、さまざまなことが可能になります。

(画像引用:https://youtu.be/DVvmgjBL74w

Neuralinkは2017年には約2700万ドルの資金調達を成功させました。脳科学や機械工学など、幅広い分野の最先端の人材を集めつつ、着実に事業を進めています。

イーロン・マスク氏が深く関わっている

Neuralinkが注目される大きな理由として、イーロン・マスク氏がマックス・ホダック氏(現在は退職)と共同設立し、現在はCEO として経営に深く関わっていることが挙げられます。マスク氏は著名な起業家で、電気自動車メーカーの「Tesla」や、宇宙開発企業の「SpaceX」が有名です。AI関連では、非営利団体である「OpenAI」の共同創業者でもあります。

マスク氏はイベントに登壇したり、Twitterで言及したりして、Neuralinkに対する人々の関心を集めてきました。また、エンジニアでもあるマスク氏は2019年にはBMIに関する論文を発表しており、Neuralinkの使用技術にも知識と関心を持っていることがうかがえます。

Neuralinkの長期的・短期的な目標

Neuralinkは何を目指しているのか、長期と短期の2つの面から解説します。

長期的な目標:人類の脳を進化させる

Neuralinkの長期的な目標は、AIの急速な進歩に人間を対応させることです。具体的には、BMIによって脳そのものをインターネットと接続し、AIを追加能力として使用することを目指しています。AIを自分自身と区別がつかない形で利用できるようになれば、人間の情報処理能力は飛躍的に高まるでしょう。

また、BMIを使用する人どうしであれば、言語を用いることなく、思考そのものを伝達することも可能になります。

NeuralinkはBMIを商業化し、誰もが利用できるようにすることで、人類の脳を進化させることを目指しているのです。ただし、こうした目標は数年で実現できるものではないため、もっと長いスパンで考える必要があります。

短期的な目標:病気に対処する

Neuralinkが短期的に目指しているのは、障がいや慢性疾患を持つ人のために、BMIを役立てることです。具体的には、BMIは以下の病気の対処に役立つ可能性があります。

🧠病気へのBMI の活用
  • パーキンソン病
  • てんかん
  • 重度のうつ病

パーキンソン病に関しては、脳に電極を取り付ける「脳深部刺激療法」がすでに用いられています。こうした治療法の延長線上として考えれば、BMIは社会に受け入れられやすいといえるでしょう。

体をほとんど動かせない患者でも、BMIを利用することで、マウスやキーボードを操作できるようになります。それによって、人とコミュニケーションを取ることや、創造的な活動を行うことが容易になるのです。

また「病気で苦しむ人を救う」という現実的な目的のためなら、人体実験に必要な規制当局の許可を得やすいと考えられます。

技術的な成果である「Link」と「V2」

Neuralinkの技術的な成果の代表例として、「Link」と「V2」を紹介します。

Link:脳に埋め込む装置

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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