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AIとデータ活用に対するEUの方針を解説
2022/09/28 ブログ, The Insight 
by kohei 

AIとデータ活用に対するEUの方針を解説

最先端分野で国際的なルールづくりを主導するEUの動き

今週のテーマ:法規制

パロアルトインサイトの嶋崎です。AIの活用が急激に広がる現代社会では、従来の法律や規制が想定していなかった状況が次々に生まれています。日本だけでなく世界各国が対応に追われる中で、いち早くルールを整備し、存在感を強めているのが欧州連合(EU)です。EUがAIやデータ活用に対して、どのようにアプローチしているのかを紹介します。

シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回取り上げるのは、AIの普及に対応してEUが整備を進める法的な枠組みです。

💡
この記事から得られる3つのナレッジ
・EUのAI開発に対する方針
・EUのデータ保護法「GDPR」の概要
・画像生成AIがアーティストに与える影響
📖
このテーマを選んだポイント
AIをビジネスで活用するにあたって、EUの法規制を理解しておくことは重要であるため。

目次

AI開発に注力するEUの方針

EUの厳格なデータ保護法「GDPR」

AIは「スクレイピング」されたデータを利用

画像生成AIがアーティストに与えている影響

AIビジネスデザイナーのワンポイントアドバイス


AI開発に注力するEUの方針

2021年4月、EUはAIに対する方針を公表しました。その狙いと内容について解説します。

2021年4月に発表した方針の狙い

EUの方針は3種類の文書から成り立っていますEUの公式サイトから引用すると、以下の通りです。

AIに対する欧州のアプローチを促進するコミュニケーション
AIに関する協調計画の更新 (EU加盟国内において)
AIに関する調和された法律(AI法)を定め、関連する影響を評価する提案

これらを策定することで、安全と基本的権利を確保しつつ、AIの開発を進めようとしています。AI研究の環境を整備して、優秀な人材を育成することで、EUの国際競争力を高めることが狙いです。

さらにEUはAI開発に多額の投資を続けることで、最先端の研究で世界のリーダーとなることを目指しています。投資額は年間200億ユーロを継続することを目標としており、EUとしてAI開発に注力する方針が明確です。

AIのリスクに対応する法的な枠組み

EUはAIに関する法的な枠組みの整備も進めています。研究開発を思い切って進めるためにも、AIの利用によって生じるリスクに備えることは非常に重要です。

AIのリスクを以下の4つのレベルに分類して対処することを、EUは提案しています。

⚠️AIのリスク
  1. 許容できないリスク
  2. 高リスク
  3. 限定的リスク
  4. 最小リスク

これらのリスクに対して、加盟各国の国内法およびEU法ではカバーできないケースにのみ介入するというのが、EUのAI関連法の基本方針です。AIへの対処方針を定めるのに時間がかかっている国が多い中で、EUによる法的枠組みの整備は先進的なものといえます。

EUの厳格なデータ保護法「GDPR」

データ活用に関してもEUは法律を制定済みです。EUのデータ保護法「General Data Protection Regulation(GDPR)」について解説します。

GDPRはデータ保護の世界的な基準

GDPRは2018年5月に施行されました。EUの人々を個人情報の誤用や悪用から保護することを目的としています。プライバシー保護と安全性を、世界でも最も厳しい水準で求めている点が特徴です。

GDPRが対象とするのは、EU各国に拠点を構える企業だけではありません。EU域内の人々に商品・サービスを提供したり、データを収集したりする、すべての企業や個人が従うことを求められます。国際的に事業を展開している日本企業の多くも対象となるため、GDPRに違反しないように注意が必要です。

国境を超えて提供されるオンラインサービスの多くは、世界のどの国でも使えるように設計されます。すべての国に対応するには、最も厳しいEUのデータ保護水準をクリアしなければなりません。そのため、GDPRは実質的に世界的な基準として扱われています。

個人を識別できるデータ「PII」

データ保護に関しては「Personally identifiable information(PII)」についても理解しておくべきです。PIIとは、特定の個人を識別できる可能性のあるデータを指します。例としては以下の通りです。

👤個人を特定できるPII
  • 名前
  • 住所
  • 生年月日
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • パスポート番号
  • クレジットカード番号
  • 指紋情報

インターネット上にあふれる情報の中でも、PIIは特別に価値が高いといえます。そのため、PIIを狙ったデータ侵害やサイバー攻撃は増え続けているのが現状です。GDPRでもPIIの保護は重視されており、企業は厳格な保護基準をクリアすることを求められます

PIIを収集すればするほど、情報を管理する責任は重くなり、データ漏洩やサイバー攻撃などによる損失も大きくなります。企業が顧客のPIIを取得する際には、必要最小限の情報だけにとどめるべきです。

AIは「スクレイピング」されたデータを利用

大規模なAIモデルの学習には、インターネット上から集められた大量のデータが使用されることが一般的です。OpenAIが開発する自然言語処理AI「GPT-3」や画像生成AI「DALL·E 2」はその典型例です。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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