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リスキリングとは?DX時代の人材育成における最重要キーワードを解説
2022/10/21 ブログ 
by suzuki 

リスキリングとは?DX時代の人材育成における最重要キーワードを解説

昭和・平成と時代を経て、令和の現代では以前に比べて仕事のやり方・働き方などが大きく変化しています。この潮流にうまく乗ることができず、衰退していった企業も残念ながら多く存在します。こうした中で岸田首相をはじめ政府は「リスキリング」という言葉を提唱し、企業への導入を進めています。
そこで今回は、話題のリスキリングとはどういったものか解説しつつ、実際に従業員のリスキリングを取り入れたことで、DX化を実現できた事例をいくつかご紹介します。
リスキリングを通して、将来的にDX経営の実現を図りたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

■リスキリングとは?

リスキリングとは、新たな職業に就くために、または現在の職業で必要なスキルの大幅な変化に適応するために必要なスキルを獲得することと定義されています。簡単に言えば、新しいスキルを身に付けることを指します。2020年1月に開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)の中で、「リスキリング革命の推進」を表明したことは日本に限らず世界でも話題を集めました。

リスキリングは、既存の組織に属することや、今ある業務内容を前提としたスキルの育成ではありません。社内には現存しないが、今後発生する時のために高度なスキルを持つ人材を社内で育成することを目指す取り組みです。リスキリングを進めるための組織作りは、経営の根幹を担う人材を育成すると言っても過言ではありません。

■DX時代にリスキリングが必要なわけ

リスキリングの必要性が強く世間に取り上げられるようになったのは、DX時代への加速が影響しています。経済産業省は以前から企業の抱えるレガシーシステムの危険性について、2025年以降には最大年間12兆円もの経済的損失が生じると予測しています。この問題は「2025年の崖」と警鐘を鳴らしたことで、多くの企業ではDXへの移行を進めています。そんな来たるDX時代にはなぜリスキリングが必要となるのでしょうか?

2025年の崖について詳しくはこちら

まず理由の1つに、DX人材の育成において、スキルを学び直す必要性があることが挙げられます。デジタル技術が進歩することで、事業モデルや商品・サービスの在り方まで変化をしています。
AIやIoT、ロボット技術などに今後社会に広く浸透していく中で、デジタル技術に関与しないと思われている職業でも仕事の進め方が変化する可能性は十分に考えられます。そんなあらゆる職業において環境が変化にしていくことが考えられる中で、適応していくためにも一人ひとりが新しいスキルを身に付ける、リスキリングが必要性が高まっているのです。
また、新型コロナウイルスの世界的流行により働き方も大きく変化しました。これまでは社内で働くことが一般的でしたがテレワークに切り替わり、顧客との会議も対面からオンラインへ移行するなど、従来の働き方では対応できない場面も増えてきています。

■リスキリングを進める上で必要なステップ

実際に企業がリスキリングを進めていく上で、どのようなポイントに注意すべきか分からない場合も多いでしょう。続いては、リスキリングを進める上で必要なステップを解説していきます。

・事業戦略に基づき求めるスキルと人材を決める
リスキリングは手段の1つであり、目的ではありません。まずは事業戦略に基づき、どのようなスキルを習得するべきか、どの部署のどんな人材に習得してほしいのかを決めます。リスキリングで習得すべきスキルは、自社の業績や事業内容などを参考にしつつデータベースなどのシステムを活用することでより発見しやすくなります。

・社外の専門組織やコンテンツを活用する
いきなりリスキリングの文化を取り入れようとしても、社内で開発からスタートさせるのは効率的ではありません。そのため、社外の専門組織やコンテンツを活用することでより素早く、コストも抑えながらリスキリングを実践できるようになります。
ただし、社外の専門組織やコンテンツの中にも、自社が求めるスキルとは違うものを提供していたり、十分な習得ができなかったりする場合もあります。リスキリング導入の解決につながる内容かを吟味しながら、信頼できる企業やコンテンツを選ぶことが大切です。

・社員の声を取り入れ継続的に実施する
リスキリングは、継続して行うことで現場にも活かせるスキルを習得させていきます。ただし、社員は通常業務と並行してスキルを習得していく必要があるため、モチベーションを高めていくことも重要です。社員の声を聞き入れながら問題点を改善しつつ、継続的にリスキリングを実施することで目的の達成につながるでしょう。

■リスキリングでDX経営を実現した海外事例

国内でも大手企業を中心にリスキリング導入は進んでいますが、海外では既にリスキリングによってDX経営を実現した事例も多いです。ここからは、リスキリングでDX経営を実現した海外の事例をご紹介します。

・Amazon
Amazonはリスキリングの先進企業の1つに挙げられるほど、以前からリスキリング事業を進めていました。2019年7月には2025年までに従業員10万人をリスキリングする計画を発表しており、世界的にも最大規模の従業員リスキリング事業と言われています。プログラムの内容には、技術職以外の従業員にスキルを習得させ技術職へ移行させる「Amazon Technical Academy」やデジタルスキルを持った従業員に機械学習スキルを習得させる「Machine Learning University」などがあり、デジタルスキルの底上げを図っていることがわかります。

・リーバイス
アメリカを拠点とするアパレルメーカー・リーバイスは、コロナ禍による影響で業績が悪化してしまい、業績改善を図るためにDX人材を増やそうとリスキリングを実施しました。従業員350人の中から43人を選び、週5日・1日9時間のフルタイムで機械学習スキルを習得させたのです。リスキリングの実施から2ヶ月後、DXの専門部署へ配置転換し、OJTを経て現在は一人ひとりが仕事に取り組んでいます。この事例から、フルタイムであれば約2ヶ月+OJTでリスキリングは可能になることもわかっています。

・AT&T
アメリカの情報通信・メディア系事業を展開するAT&Tは、“アメリカの企業史で最も野心的なリスキリング”を実施する企業として注目を集めています。2000年代、スマートフォンの普及拡大と高速通信化によって通信業界は大きな変革に直面しました。急激に経営環境が変化していった中でAT&Tが実施したのは、2020年までに主要事業をハードウェアからソフトウェアシステムへ転換する取り組みです。事業戦略の転換を図るには、転換後に必要なスキルを持った人材を確保しておかなければなりません。しかし、2008年に社内で実施した調査によると、従業員25万人の中でデータサイエンス・エンジニアリングのスキルを持っているのはわずか半分に過ぎず、約10万人が行っている仕事は10年後になくなる可能性が高いことが判明したのです。
そこでAT&Tは2013年から2020年までに、自社でどのようなスキルセットが必要か特定した上で10万人へのリスキリングを実施する「ワークフォース2020」をスタートさせています。
このプログラムを実施した結果、社内に存在する技術職の80%以上が社内異動だけで充足できるまでに成果を残せたのです。さらに、リスキリングを実施した従業員は他の従業員に比べて1.1倍高い評価を受けていること、1.7倍昇進の可能性が高くなったこと、逆に離職率は1.6倍低くなっていることが判明しています。

■おわりに

今回はリスキリングについてご紹介してきました。日々技術の進歩が見られる中で、企業経営でも時代の変化に合わせていく必要があります。特に今後はDX時代が到来し、リスキリングの重要性もさらに高まっていくことでしょう。すべてを内製でまかなおうとしても難しいため、まずは社外の専門組織やコンテンツの活用を検討してみてください。

パロアルトインサイトでは、AI人材育成プログラム「AIビジネスデザイン基礎」も提供しています。AI人材になりたい人や、AI人材を育成したい企業など幅広い皆様にご好評いただいておりますので、ぜひご活用ください。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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