なぜいまテック企業で心理学者が必要とされているのか
アメリカでは、AI活用が浸透した影響もあり、単なる合理化のAIにならないように、行動経済学や心理学といったバックボーンを持つ人間が、ビジネスや政策立案などの行動を理解し、変えるという役割で、ビジネスの現場に入る動きが広がっています。中でも、テック企業が意思決定のポジションに心理学の素養を持つ人物を据えてCBO(Chief Behavioral Officer)という役割を創設する動きも進んできています。
これは、行動科学や心理学が、企業や組織のトップレベルの意思決定に影響力を持ち、生み出す価値も大きいということを明確に表しています。
今回の注目カンパニーで紹介している「BetterUp」も、同社が2018年に開始した行動研究ラボである「BetterUp Labs」の会長に心理学者でベストセラー著者のアダム・グラント氏が任命したことを22年10月に発表しました。
他にも、2015年、NYを拠点に創業した損害保険のスタートアップ「Lemonade」は2016年に行動経済学の権威でベストセラー作家のダン・アリエリー氏をCBOとして招聘する(2020年末に退任)など、経営やプロダクト開発の根幹に行動経済学や心理学の要素を加える動きが浸透してきています。
AIが世の中に浸透してきたことで、単なる合理性や技術性だけを追求し人の意思決定や行動を分析するのではなく、「行動経済学」と「心理学」とを掛け合わせることで、より人間の感性を中心においた枠組みでのAI活用が広がってきています。
参考:いまシリコンバレーで「AI(人工知能)×行動経済学」が最強なワケ |