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パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC. > ブログ > スタートアップ企業「Wayve」の開発する新たな自動運転技術アプローチ「AV2.0」を解説
投稿日:2022/11/01 更新日: 2023/05/22 by kohei

スタートアップ企業「Wayve」の開発する新たな自動運転技術アプローチ「AV2.0」を解説

ディープラーニングを核とする新しい自動運転技術とは

今週のテーマ:技術開発

パロアルトインサイトの嶋崎です。車の自動運転技術は、大手を含む多数の企業によって、長年研究が進められてきました。現在はどの企業が抜け出すのか、激しい競争が行われている状況です。そんな自動運転業界に、イギリスのスタートアップ企業「Wayve」は新しい技術的アプローチ「AV2.0」を武器に参入しました。

シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回取り上げるのは、新たな自動運転技術のアプローチとその成果です。

💡この記事から得られる3つのナレッジ
・自動運転スタートアップ「Wayve」の概要と目標
・「AV2.0」と従来のアプローチの違い
・WayveによるAV2.0の具体的な成果
📖このテーマを選んだポイント
自動運転業界でディープラーニングを核とした新しい技術が成果を出し、注目を集めているため。
📖この記事に登場する技術キーワード

目次

Wayveは自動運転スタートアップ企業

自動運転技術の新たなアプローチ「AV2.0」

未来を予測する技術

乗用車と配達用バンの両方を自動運転する技術

AIビジネスデザイナーのワンポイントアドバイス


Wayveは自動運転スタートアップ企業

まずは「Wayve」がどんな企業なのかを紹介します。

ケンブリッジ大学発の企業

Wayveは自動運転の研究開発を進めるスタートアップ企業です。2017年に、ケンブリッジ大学のディープラーニング(Deep Learning)の研究を基礎として設立されました。拠点はロンドンにあります。下図はWayveの公式サイトに掲載されている集合写真です。

(画像引用:https://www.wayve.ai

Wayveは世界的な投資家や企業から資金を集めることに成功しています。2022年2月までに調達した株式の総額は、2億5,800万ドルを超えました。2022年5月には、Microsoftとの提携を発表。自動運転業界では後発の企業であり、規模もまだまだ小さいながら、Wayveは急速に存在感を高めています。

最も早く100都市に展開することが目標

Wayveが目標としているのは、「100都市に自動運転車を走らせる最初の企業になる」ことです。

自動運転の研究開発で競争相手となる企業は、「Waymo」や「Cruise」など、世界中にたくさんあります。すでに複数都市で自動運転車を運用している企業も少なくありません。しかし、いずれの企業も自動運転をより大規模には展開できていない状況です。

Wayveは従来とは違ったアプローチで開発を進めることで、自動運転車を運用できる都市を一気に広げようとしています。すでにイギリス国内の以下の都市では、テスト走行を成功させています。

従来の技術にこだわりがなく、新しい試みを取り入れやすい点は、スタートアップ企業であるWayveの強みです。

 

自動運転技術の新たなアプローチ「AV2.0」

近年、自動運転(Autonomous Vehicle)の研究開発において、「AV2.0」と呼ばれる新しいアプローチが試みられています。Wayveの躍進の原動力となっている「AV2.0」は、従来の技術と何が違うのかを解説します。

従来の技術「AV1.0」の問題点

AV2.0は、従来の技術を「AV1.0」として、それよりも進んだ段階であることを強調する名称です。AV1.0では、「あらゆることに対して個別の対応が必要」であることが課題となっています。

AV1.0のアプローチでは、どのような状況でどんな運転をするのか、すべて人の手でコーディングされていました。たとえば、「前方に人が飛び出してきたら停止する」などのルールが細かく決められ、大量に実装されてきたのです。その結果、システムが大規模で複雑になり、メンテナンスに苦労するようになってしまいました。

また、周囲の状況の把握には、高精度3次元地図(HDマップ)データが大きな役割を果たしている点も、AV1.0の特徴です。HDマップデータがない都市では安全な走行が難しいため、多くの都市に展開できない原因のひとつとなっています。

「AV2.0」ならあらゆる状況に対応可能

AV2.0では、周囲の状況把握やあらゆる判断を、ディープラーニングを行ったAIに任せます。人がルールを決めるのではなく、カメラなどのセンサーから集めたデータをどう扱うのかをAIが判断し、適切だと思われる運転操作に反映させるのです。

このように入力から出力までを一貫して処理する手法は、「end to end」のアプローチと呼ばれます。個々のルールや操作をモジュールのように組み合わせるのではなく、AIにすべてを任せることで、自動運転の汎用性を高めることが狙いです。

AV2.0であれば、AIは過去に別の状況で学んだことを、初めての状況にも応用できます。人は初めて訪れた都市でも、問題なく運転できます。適切なディープラーニングを行ったAIであれば、同じことが可能なのです。

 

未来を予測する技術

Wayveが発表した、AV2.0のアプローチの具体的な成果を2つ紹介します。まずは、2020年3月に発表された「未来を予測する」技術です。

レベルの高い自動運転には未来の予測が必須

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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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