DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」
各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。
先日、イーロン・マスク氏がついにTwitterを買収しました。このLevel 5でも度々マスク氏とTwitterの動きは取り上げてきましたが、ついに決着したということで、今回の買収劇と今後の動きについて分析するところからスタートしました。
買収後の動き
今年1月から約10ヶ月かけて成立した今回の買収。日本でも大きな話題となりましたが、現地アメリカではどのような反応があったのでしょうか。出演者の長谷川は、Twitterのエンジニアがクビになったという報道を目にしたようですが、後になってフェイクニュースだということがわかりました。一般人が嘘をついて関心を寄せようとするほどに、このニュースが注目されていたことが伺えます。
また、気になるのがマスク氏の今後の仕事内容です。皆さんもご存知の通り、マスク氏はスペースXやテスラなど、Twitter以外にも多くの大企業を保有しています。その点、Twitterで大規模な改革を進めていく姿勢を見せていますが、それらは順調に進められるのでしょうか。早速、リモート業務禁止などの改革を進めているようなので心配する必要はないかもしれませんが、今いる社員のモチベーション管理を含め、マスク氏の手腕が問われます。
Twitterで描く未来とは
先日、マスク氏がTwitterの広告主へ向けて声明文を出しました。そこに書いてあったのは、Twitterを通して描く未来についてです。
僕がTwitterを買収したのは、文明の未来のために共通のデジタルな町の広場が必要だったから。健全な形で暴力を振るうことなく、幅広い考えを話し合うことができる場所が必要だから、買収をした。
この「デジタルな町の広場」のことを「コモンデジタルタウンスクエア」と呼んでいるのですが、この実現こそがマスク氏の最大目標と言っていいでしょう。アジアではSNSやチャット・ペイメントツールが1つになったアプリケーションの開発が進んでいますが、アメリカではまだあまり多くありません。その点、Twitterを単なるSNSからフィナンシャルプロダクトにまで進化できれば、非常に大きな意味を持つでしょう。
今後も引き続き、「Level 5 by Palo Alto Insight」ではコメントを募集しております。
ぜひお気軽にご質問ください。
第43回で取り上げる「今週のホットニュース」は「What We Learned From The Information’s 50 Most Promising Startups」です。
ニュースの概要
このニュースは、アメリカのニュースサイト「The Information」が毎年発表している「2022版 最も有望な新興企業50」をピックアップした内容になります。今回はその中から8つの部門をピックアップし、それぞれでトップになった企業について議論しました。
Data & AI部門1位「Runway」
こちらの企業は、画像生成AIのモデルを作っている会社として非常に注目されています。まだ社員数は33人と少人数ながらも、月額12ドルを支払う有料会員が既に1000人以上いるとされており、今後もシェア拡大が期待できそうです。
以前からLevel 5でも話題に上がっていた画像生成系のビジネスモデルですが、それらプロダクトの中でも特に「使いやすさ」を重視していることが伝わってきます。プロのカメラマンや動画クリエイターなど、多くの人から支持されそうな使い勝手の良さで、画像の中にある邪魔なものを削除する機能なども搭載しているようです。今後、AdobeやCanvaなどと並ぶようなサービスになることが期待されています。
B2B & Cybersecurity部門1位「Datarails」
イスラエルに本社を置くこちらの企業では、Excelやスプレッドシートを使って行う面倒な資料を、数分で作成できるようにするプロダクトを開発しています。財務データなどを綺麗にまとめるアプリケーションはあっても、根本にあるExcelやスプレッドシートは使い続けるケースが多いことから、既存のサービスの使い勝手を向上しようとする着眼点が非常に面白いです。社員数は約200人と少人数ですが、これから大きく成長を遂げるかもしれません。
Consumer & Creator部門1位「BeReal」
こちらは以前の放送でも取り上げた「アンチインスタグラム」を掲げる企業になります。1日1回、不定期にリアルなネタを投稿しなければならない点が非常に評価されており、着飾った写真を投稿するインスタグラムとは逆のスタンスを貫いています。20代のユーザーを中心に大ブレイク中のSNSとなっておりますので、気になった方はぜひ一度使ってみてください。
Fintech部門1位「Middesk」
こちらは、新規取引先の本人確認を容易にするソフトウェアを提供している企業です。企業が新しい顧客を獲得する際、住所やライセンス書類などの様々なデータを集めて身元確認をする必要があります。このような面倒な工程をより素早く対応するためのソフトウェアとして注目されており、出演者3名も興味を示していました。
Commerce部門1位「ShipHero」
フルリモートで運営しているこちらの企業は、Eコマース企業や消費者・直販ブランドの在庫管理・倉庫管理・受注処理を支援するサービスを提供しています。Eコマース企業は増えているものの、販売の裏側を支援する会社というのはまだまだ多くありません。次のAmazonになるという抱負を掲げていますが、Amazonとは違う切り口でシェア拡大を進めていきそうです。
Asia部門1位「Shanghai BangBang Robotics」
こちらの企業では、身体障害者や高齢者向けの電動車椅子・リハビリテーションロボットを開発しています。今年売上高が3倍になると期待されていて、売り上げ比率の35%が海外市場という点も高く評価されています。プロダクトのデザインも非常に可愛らしく、従来の車椅子とは違った魅力が詰まっています。
Crypto部門1位「dYdX Trading」
ニューヨークに拠点を持つこちらの企業では、イーサリアムブロックチェーン上で動作する分散型の取引所を開発しています。ビットコインの特徴である分散型台帳が、コインベースなどの大手取引所によって中央集権型になってしまうことを懸念しており、それらの問題を解決しようと誕生したといわれています。
Media部門1位「6AM City」
こちらはローカルニュースペーパーを発行している企業になります。時代に逆行しているように見えますが、アメリカにおいてローカルニュースペーパーの存在は非常に重要です。地域性の強い情報は、その街に住んでいる人にとって貴重であるからこそ、アメリカのニーズをうまく利用したビジネスモデルとして非常に注目されています。
「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「SHOE DOG(シュードッグ)」です。
こちらのコンテンツは、世界的なスポーツブランドに成長した「ナイキ」の創業物語を描いた一冊となっています。多くの著名人から賞賛のコメントをいただいており、多くの人の心を揺さぶるストーリーは必見です。日本でも大変話題になったコンテンツとなっておりますので、興味のある方は読んでみてください。
それでは、次回の放送もお楽しみに!
#43の実際の音源はこちらからお楽しみください。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
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