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レイオフによって引き起こされる変化 – 米テック企業の現状とは
2023/01/27 ブログ 
by kawakamitakuro 

レイオフによって引き起こされる変化 – 米テック企業の現状とは

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。

レイオフによって引き起こされる変化 – 米テック企業の現状とは

今回の放送でも引き続き、ワールドカップの話題でスタートしました。残念ながら日本はクロアチアにPK戦の末敗れてしまいましたが、最後まで戦い抜いた選手たちの姿は多くの人に勇気を与えたことでしょう。すでにベスト8まで出揃い、非常に高レベルの試合が続く中で、日本以外の試合についても様々な感想が出ました。

 

PK戦の多い今大会

ワールドカップはグループリーグごとに試合が行われたのち、決勝トーナメントを経て優勝を決める大会です。そのため、決勝トーナメント以降は必ず勝敗をつける必要があります。そこで行われるのが「PK戦」です。

今大会は日本対クロアチアの試合を含めて非常にPK戦決着の多い大会となっています。そこで石角は、ベスト8で戦ったクロアチア対ブラジル戦でのPK戦について振り返っています。ネイマールというエースを、なぜPK戦の1番手キッカーにしなかったのか疑問に思っており、ネイマールのような国民的大スターが1人目でしっかり決めることによって会場も一気に盛り上がることができたのではないかと分析しています。

逆にクロアチアのゴールキーパーは、まさしく今大会で大きく名を上げた1人となったのではないでしょうか。試合中も柔軟な対応でブラジルからの猛攻を防ぎ、チームを勝利へと導きました。普段行われているクラブチームのリーグ戦ではなかなかみることのできないPK戦を楽しめるのも、ワールドカップならではの魅力かもしれません。

 

優勝はどの国になるのか

長谷川は、今大会のダークホースとしてイングランドを挙げています。組織力もありバランスの取れたチームで、優勝する可能性は十分にあるでしょう。次戦は前回王者フランスで、この試合も非常にハイレベルな戦いが予想されます。

山崎は、メッシ率いるアルゼンチンが優勝するのではないかと予想しています。世界的スター選手のメッシも今大会でワールドカップはおそらく最後となるでしょう。そんなメッシに、有終の美を飾って欲しいという思いは多くのファンが思っているはずです。

今後も引き続き、「Level 5 by Palo Alto Insight」ではコメントを募集しております。

ぜひお気軽にご質問ください。

 

テック企業で広がる大量解雇はどのような影響を与えるのか

第49回で取り上げる「今週のホットニュース」はA Rundown Of All The Tech Layoffs—And What That Means for Tech Investorsです。

ニュースの概要

このニュースは、アメリカのテック企業を中心に動きが波及しているレイオフ(解雇)の問題について取り扱った記事になります。Forbesの記事によると、2022年1月から10月までの間に、テック業界だけで約9万2000人の従業員が解雇されたようです。また、11月もわずか30日間で196社から5万1000人以上の従業員が解雇されています。

このようなレイオフが急増している背景には、テック業界の慣習となっていた「行き過ぎた雇用」「インフレ」「FRBの利上げ」が関係していると言われており、多くの大企業がコントロール不能な環境下で少しでも支出を抑えるために多くの人員を削減しているようです。今回は、このテック企業のレイオフによる影響について議論しました。

 

多種多様なレイオフのやり方

長谷川は、今回のレイオフの波を引き起こしたきっかけとして、Twitterを挙げています。ご存知の方も多いかと思いますが、イーロン・マスク氏がTwitterのCEOに就任してから、Twitterでは大規模なレイオフが実施されました。それらの様子は、マスク氏本人のTwitterを通して拡散されており、多くの批判を受けています。というのも、マスク氏のレイオフのやり方は非常に冷酷で、辞めさせる際も「長時間労働ができない人間はやめてくれ」といったメッセージを発信するなど、過激なスタンスでレイオフを実施しているのです。

これに対して、決済ソフトウェア企業のストライプのリストラは、非常に手厚いサポートとともにレイオフを実施しています。退職金はもちろん、次の雇用先を見つけるための支援体制も整っており、企業によってレイオフのやり方も様々であることが分かります。長谷川は、このような面倒見のいい企業に入りたいと思うエンジニアは多いのではないかと分析していました。

 

レイオフがマーケティングイベントのようになっている

石角は、レイオフがマーケティングのイベントのようになっているのではないかと指摘しています。Airbnbがレイオフを実施した際、当時の社長であったブライアン・チェスキー氏が社員に対して非常に長い文章を添えたメールを送信したことが話題になりました。そのメールには、次の就職先への斡旋はもちろん、使用していたPCを持ち帰ることも許可するといった内容が書かれており、それによって「いい社長」というイメージを持った人も多かったのではないかと分析しています。

レイオフするということは「クビにする」ことであり、決して良いイメージを持つ人は多くないでしょう。しかし、テレビ番組に出演して、レイオフを実施した時の心境について語る姿をみると、レイオフしているのにパブリックイメージが向上するという不思議な状況が生まれていたのです。逆に、マスク氏は今回のレイオフを通じてイメージダウンしてしまったのかもしれません。いずれにせよ、レイオフを通してイメージが大きく左右されるということは、非常に興味深い話です。

 

IT人材が様々な市場に入り込む可能性

山崎は、ビッグテックに所属していたIT人材が、今回のレイオフをきっかけに様々な市場に入り込んでいくのではないかと分析しています。伝統的な企業や、DX推進の遅れているような産業に優秀なIT人材が入り込むことで、社会的にテクノロジーが普及するかもしれません。

特に、今まで考えもしなかった非営利団体や教育の分野に、よりテック企業の社員が分散することによって、そこで培ってきたスキルや仕事の仕方・ITリテラシーが浸透していく可能性があります。このように広い視野で考えると、今回の大量解雇も1つのポジティブな動きとして捉えることができるかもしれません。

 

「雇う側」が重要になる

ここまで、アメリカのテック企業におけるレイオフの現状について議論してきましたが、実際に会社を辞めていく人たちは今後何をするべきなのかについても話しました。そこで重要になるのは、やはりリスキル(学び直し)でしょう。

例えば、今までプロダクトマネージャーをやっていた人がエンジニアリングの勉強をすることによって、新しいキャリアを歩むきっかけになるかもしれません。このように、レイオフというイベントは人によってはショッキングなことですが、社会全体でみると「IT人材が育っていく」というポジティブな見方もできます。

また、これからは「雇う側」が重要になるのではないかと石角は分析しています。リスキルしたい人に対して、雇用主がポテンシャルを評価してどれだけ採用を進められるのかというのは、非常に重要な要素になるでしょう。政府としても、就職支援という観点から雇う側に対する支援やサポートを手厚くする必要があるかもしれません。

Level 5 では引き続き、アメリカのビックテックの動きに注目していきたいと思います。

 

今週のおすすめコンテンツ「天才たちの未来予測図」(マガジンハウス新書)

「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「天才たちの未来予測図」です。

こちらのコンテンツは、4人の日本人研究者が「これからの世界と日本はどうなっていくのか」という問いに対して、それぞれの視点から語っている本になります。今話題となっているイェール大学助教授の成田悠輔氏をはじめ、東京大学大学院総合文化研究科准教授の斎藤幸平氏、東京大学大学院経済学研究科教授の小島武仁氏、ハーバード大学医学部助教授の内田舞氏など、錚々たる研究者が未来について予測しています。興味のある方は、ぜひ一度読んでみてください。

 

それでは、次回の放送もお楽しみに!

#49の実際の音源はこちらからお楽しみください。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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