近年めざましい発展を遂げている生成AI。パロアルトインサイトでも、これまでさまざまな生成AIをご紹介してきました。
AIが生成できるモノの範囲は幅広く、その精度も加速度的に上がってきており、今後様々な業界・職種でAI活用によるパラダイムシフトが起こることは間違いありません。
その事実を正しく受け止め、これからのAI時代に必要とされる能力について正しい認識を持ち、アクションを起こすことが重要です。
現在、どのような生成AIがあるのでしょうか?関連する記事を一覧にまとめましたので、是非興味があるものをチェックしてみてください。
コード生成AI
エンジニアのバリューを変革する「GitHub Copilot」
画像生成AI
Midjourneyとは?誰でも使えるAIアート生成ツールを解説
「Stable Diffusion」画像生成AIの“革命”と呼ばれるツールの実力
動画生成AI
2023年注目のAIトレンド「動画生成AI」について紹介
音声生成AI
Microsoftの音声合成AIモデル「VALL-E」の可能性
文章生成AI
・ChatGPT
対話AI「ChatGPT」チャットボットの概念を覆すAI
ChatGPTの活用方法と注意すべき制約とは
OpenAIが開発したChatGPTの技術的な難しさとリスク
・Jasper
マーケティングの仕事を変革するAIライター「Jasper」の魅力
・notionAI
Notion AI – アルファ版リリースから話題のAIツールの利用方法
こうした生成AIの発展に伴い、これまで高い専門性や独自のセンス、独創性が必要と考えられてきたグラフィックデザイナーやエンジニア、画家、ミュージシャンといった業種への参入障壁が、今後はこれまでよりかなり下がることが考えられます。
この流れは、かつて初音ミクなどの音声合成ソフトが誕生したことで楽曲制作のハードルが下がり、YouTubeなどの動画投稿サイトの浸透によって色々な人が独自に制作した楽曲を気軽に全世界へ向けてアップするようになり、その中から高い評価を得た人がメジャーデビューするようになり、今ではJpop界で主流となっている大部分のミュージシャンがYouTubeなどの動画投稿サイト出身であるという日本の音楽シーンの一連の流れを彷彿とさせるものです。
AIの力を借りて創作活動の民主化が益々進むとすれば、今後は専門的な技術そのものよりも、専門的な技術や知見を持った「プロフェッショナル人材としてのバリューの出し方」が非常に重要になってくると考えられます。
では、具体的にどのような能力が重宝されるようになるのでしょうか?
今回は、ますます生成AIが民主化されていくであろうこれからの時代に重宝される3つの能力を紹介したいと思います。
生成AIの発展に伴い、現在需要が急増している新しい職業に「プロンプトエンジニア」があります。これは、AIに思い描いた通りの成果物を生成させるための「プロンプト(指示語)」作成を専門的に行う職業のことです。AIへ指示を出すことは誰でもできますが、AIへ「思い描いた通りの成果物を生成するための適切な指示を出すこと」は、実はとても難しいのです。例えば、想像した通りの絵画をAIで生成したいと思ったら、「その絵画がどのような画家の作風なのか」「どういった色調なのか」などの詳細な情報を言葉として知っている必要がありますし、使用するAIがどのようなデータからどのような絵を出力するのかの特徴についても熟知している必要があります。つまり、プロンプトエンジニアというのは、生成AIモデルへの正しい理解や特定の分野における豊富な専門知識、そして成果物の出来栄えや正誤を判断できる能力などが無くては務まらない専門的な能力なのです。そのため、自身のもつ専門知識を生成AIへの指示語に昇華できる能力は、今後大きなバリューとなり得るのです。
文章生成AIのChatGPTやコード生成AIのGitHub Copilot(Codex)は確かに底知れない可能性を秘めていますが、全能のAIというわけではなく、「もっともらしい嘘をつく」ことがよくあるというのが通説で、公式にもアナウンスされています。そのため、例えCodexの進化によってプロンプトのみでプログラミングが可能になったからといって、何の素養もない全くの素人がビジネスレベルの開発案件をこなせるようになるかというと、それはあり得ません。なぜなら、プログラミングの知識が無ければ、AIが出力したコードに欠陥があった場合に気がつくことができず、それが原因でバグなどが発生した場合に、原因を突き止めて修正することができないためです。このように、現状ではAIはあくまで専門的スキルがある人の生産性を上げるための補助ツールにすぎず、AIの出力に対して最終的な正誤の判断や適切な修正を行える専門的な能力を磨いておくことは依然として必要不可欠なのです。
今後、益々生成AIの需要や重要性は高まり、加速度的にさまざまな種類の生成AIモデルが生まれてくることが予想されます。そのような場合、目的を達成するために「どの生成AIモデルを使うのか」「どのように使うのか」「どのモデルを組み合わせるのか」といった要素を適切に判断して、目的の達成に最も効果的な方法を提案する発想力や目利きの能力などがますます重要になってくると考えられます。この力を養うには、日頃からAIモデルの仕組みや最新情報を勉強し、知識を蓄えるだけでなく、実際に使用してみたり、プロジェクトを動かして試行錯誤する日々の努力が欠かせません。
いかがでしたでしょうか?
生成AIは人間の仕事を代替する存在であると同時に、新たな仕事を生み出したり、人間の能力を補強して可能性を広げてくれる存在でもあり、そのようなAIの恩恵を受けるためには依然として「プロフェッショナル人材」としての専門的な知識や日々の情報収集などの努力が非常に重要だということがお分かりいただけたでしょうか。「AIに仕事が奪われるのではないか」と悲観するよりも、「AIを活用することで便利になり、開ける新しい未来」に向かって日々努力を重ねてゆけると良いですね。
弊社では、AI活用に関するご相談を受け付けています。もしAIについてお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
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2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
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※石角友愛の著書一覧
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