AIがメンタルヘルスの領域に進出したことで、様々な倫理的課題が浮き彫りになっています。Kokoなどのアプリケーションは、GPT-3などのモデルを使用し、ユーザーからの問い合わせに対してAIが生成する回答を提供しています。しかしこの分野でのAIの活用は、プライバシーや透明性の問題、治療アプローチの過度な単純化に対する懸念を引き起こしています。
AIはメンタルヘルスの領域で、「治療介入の分析」「診断目的」「デジタルセラピスト」の主に3つの形で使用されてきました。最初の2つの用途は有望に見えますが、AIが治療を指導するデジタルセラピストには、多くの懸念が寄せられています。治療反応を生成するためのAIを使用するアプリケーションは、透明性についての懸念を生んでいます。特にボットが患者のケアを最優先するようにプログラムされている場合、その懸念は強まります。また、開発者がAIモデルの訓練のために大量の機密データを必要とすることから、プライバシーの保護も大きな懸念点となっています。
一方で、AIの使用により、認知行動療法(CBT)のような自動化しやすい治療法が、メンタルヘルスへの介入手段としてさらに確立する可能性があるという見方も存在します。自動化によって治療が身近になり、アクセスの民主化が進む一方で、治療プロセスが過度に単純化するという危険性も伴っています。こうした倫理的な観点から、メンタルヘルスにおけるAIの使用には、厳格な監督が必要であると強く主張されています。
参考:https://www.nature.com/articles/d41586-023-01473-4 |