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米コカ・コーラ「何が起こるか試したい」 生成AIで商標資産を“民主化”する真意 – ITmedia寄稿記事掲載

2023/06/22 メディア掲載実績, ITメディア 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

米コカ・コーラ「何が起こるか試したい」 生成AIで商標資産を“民主化”する真意 – ITmedia寄稿記事掲載

今、リテール業界で広告のあり方が変革しているのをご存知でしょうか。その変革を後押ししているのがChatGPTを始めとする生成AIです。

以前、この連載で小売店舗内の重要なスペース(=消費者が目にする場所)を活用した広告技術の紹介をしました

この記事では、消費者との接点を強みに持つスーパーなどの小売事業者に、「冷蔵棚や冷凍棚の扉全体をデジタル広告化し、収入源にする」という驚きのイノベーションを提供した、クーラー・スクリーンというAIスタートアップについてご紹介しました。

クーラー・スクリーン社は、冷蔵棚や冷凍棚の扉全体をデジタル広告化する技術を提供している。スクリーンは4K高画質(出典:クーラー・スクリーンのWebサイト)

今回はこのような小売店舗における広告イノベーションから視点を移し、小売に商品を卸すメーカー側の新しいアプローチをご紹介します。

「無料の水を配って稼ぐ」 米スタートアップの挑戦

米国で今注目されているスタートアップに、水の無償提供を行う「Free Water」(フリーウォーター)があります。テキサス発の企業で、公式ツイッターでは、自分たちのことを“広告&マーケティングエージェント”と呼んでいるところが特徴的です。

フリーウォーター公式webサイト

同社のミッションを見ると、「グローバル規模で起きている水不足問題を解決し、クリーンでサステナブルな未来を築くため、私たちのビジネスモデルを通して無料の水を提供する世界初の会社です」とうたっています。

フリーウォーター公式Twitter

この「無料の水を提供する世界初の会社」を実現させるビジネスモデルとは一体どのようなものなのでしょうか。

なぜ儲かる? 収益を得るメカニズム

フリーウォーターインスタグラムより。無料で水を配布する動画。画面には、「当社は、アメリカの食品ロスを30%減らすことを目標にしています。なぜなら、アメリカでは”高すぎる”という理由で全体の3分の1もの食品が廃棄されている現実があるからです」というメッセージが添えられている

フリーウォーターは、紙パッケージやアルミ缶に入った水を無料で消費者に提供しています。さらに、製品1個につき10セントをWell Awareなどの慈善団体に寄付するなど、ギビング・エコノミー(贈与経済)を形成することを目的としている企業です。

消費者から商品の代金を徴収する代わりにどこで収益を得るかというと、パッケージに表示されている広告主からです。広告主はフリーウォーターに広告料を払い、水のパッケージに自社広告を大きく掲載できるというビジネスモデルです。

今後は水の無料配布だけではなく、商品をストックするための無料の自動販売機も展開する予定だということです。将来的には「無料のスーパーマーケット」を作りたいと考えているとのことで、このビジネスモデルによってリテール業界のあり方が大きく変わる可能性を秘めています。

フリーウォーターの水ボトルのイメージ。パッケージに掲載されているのは大手企業や映画の広告などさまざまで、一つのアルミ缶で8社ほどの広告が掲載可能な「ミニビルボード」と呼ばれている。無料の自動販売機のイメージ画像も

商品パッケージが「メディア」になる未来

フリーウォーターの広告主となることで、企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。フリーウォーターのウェブサイトでは、広告媒体としての魅力について以下のような項目が挙げられています。

・DMの10倍のインプレッションが得られる
・DMに比べ、10インプレッションあたりの単価が安価である
・29%という高水準なROIを実現
・「命を救い、地球を守る」という金銭に替え難い価値が得られる

出所:フリーウォーター公式Webサイト

フリーウォーターのビジネスモデル自体は既存のサプライチェーンの構造を大きく変える可能性があるため、マーケットに浸透させるには大きな資金調達が必要だと考えられます。

また、水のパッケージデザインを拡張的に行う運営方法や、水をリテールや消費者とのタッチポイントへ運ぶ物流パートナーの選定、広告費だけで本当に収益化が図れるのか、といった基本的なビジネスの課題も解決する必要があるでしょう。

しかし、サステナブルな未来を目指し、今まで広告媒体として誰も注目してこなかった商品パッケージを新しい広告媒体として使うという着眼点は評価に値するでしょう。

オンライン上では、私たち消費者は無料でアプリを使う代わりに大量の広告を見せられること、それに関するデータを許容する範囲内で共有されることを受け入れてきました。一方で物理的な商品や世界では、広告は限られた場所でしか表示できません。

もし、商品パッケージという巨大な潜在マーケットが広告媒体として成立したら、広告主やマーケターにとっても新しい取り組みができる場所になるかもしれません。

コカ・コーラが実験する、商標と広告資産の「民主化」

パッケージデザインは今まで、デザイナーを抱える専門的なブティックファームなどが手掛けることが一般的でした。しかし、もしフリーウォーターのようなビジネスが今後増えるのであれば、広告主ごとにデザイナーに発注して水のアルミ缶を製造するのは割高となります。

そこで注目されるのが生成AIを使った広告制作です。

例えばコカ・コーラ社は、OpenAIのGPT-4とDALL-E技術を組み合わせた初めてのAIプラットフォームを、同社のブログ記事で発表しました。

OpenAIとコンサルティングファーム大手のBain & Companyのパートナーシップにより開発された「Create Real Magic」(本物のマジックを創造しよう)と呼ばれるこのプラットフォーム。ユーザーはコカ・コーラのボトルやロゴ、それにサンタクロースやシロクマなどのキャラクターを使ったアート作品を、OpenAIの生成AI技術を使って制作できるようになるということです。

入選者の作品は、ニューヨークのタイムズスクエアとロンドンのピカデリーサーカスにあるコカ・コーラのデジタルビルボードに、クレジット付きで投影される権利を得られます。

その中からさらに選ばれた30人のクリエイターは、アトランタのコカ・コーラ本社で開催される3日間のコンテンツ共同制作ワークショップ「Real Magic Creative Academy」への参加権を得られるといいます。

Create Real Magic専用ページ。現在は、応募は締め切られており当選者は近日中に発表されるとのこと(2023年6月15日現在)

コカ・コーラのブログ記事の中で、同社の会長兼CEOであるJames Quincey氏は「私たちは最先端のAIによってマーケティングをより強化したり、事業を効率化したりする方法を模索している」と述べており、生成AIが同社の今後の経営戦略において重要な位置付けと認識していることが伺えます。

コカ・コーラの商標におけるクリエイティブ戦略および統合コンテンツのグローバルヘッドを努めるPratik Thakar氏は「Create Real Magicは、”共創” が私たちをどこに連れて行ってくれるかを見るための実験だ」と述べ、デジタルアーティストたちに生成AIと共創できるプラットフォームを提供することで、同社が有するコカコーラの商標と、世界最大規模の広告資産の両方を“民主化”し、何が起こるかを試したいと意気込みます。

同時に、「AIを使ったビジネスアイデアをスピーディーにテストし、学び、拡張するというわれわれのコミットメントを示すものでもある」とも述べています。

グローバル・チーフ・マーケティング・オフィサーのマノロ・アロヨ氏は、マーケティング機能においてOpenAIのテクノロジーを活用し、「クリエイティブなコンテンツ制作にイノベーションを起こしたい」とコメントしています。

具体的にはコンテンツ制作の所要時間を数週間から数日に短縮することに加え、「消費者や顧客向けのコンテンツやメッセージの”超”パーソナライズ、消費者との双方向の会話の促進など、多くの場面でAIを活用する」という狙いを明らかにしています。

生成AIを使って広告を超高速で作れるようになることで、新しい広告のあり方が生まれようとしています。こうした大きな潮目の変化を受け、コカコーラのような世界的なブランドは生成AIを積極的に使う姿勢を見せ、生成AIとアーティストをつなげ評価するプラットフォームを作ることで、「共創」の新しいあり方を示そうとしています。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2306/22/news076.html

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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