2023年11月のOpenAIサムアルトマン解雇騒動は全世界を騒がせました。その当事者として、自らの交渉術を活かして非常にうまい立ち回りをして、全世界からの評価をさらに高めることとなったのが、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏です。
ナデラ氏は、2014年にマイクロソフトのCEOに就任しました。当時からマイクロソフトは世界トップレベルの影響力を持つ会社ではありましたが、実は技術革新の速度に追いつけず苦戦している状態が続いていました。しかし、現在ではアップルと時価総額のトップを争うなど、押しも押されもしない世界トップ企業の地位を確立しています。
そんな復活を成し遂げたマイクロソフトのキーマン、ナデラがどのようにしてマイクロソフトを変革し、新たな時代のリーダーシップを示したのかをこの記事では探っていきたいと思います。
💡 この記事から得られる3つのナレッジ
・組織文化の変革と成長マインドの重要性
・マイクロソフトのビジネスモデルの変革とパートナーシップ戦略
・ナデラのAI技術への深い理解と、ビジョン
サティア・ナデラのキャリア遍歴
就任以前のマイクロソフトの現状と、組織変革
ナデラが考えるAIの未来
まとめ
サティア・ナデラは1967年8月19日にインドのハイデラバードで生まれました。マンガロール大学(Manipal Institute of Technology)で電気工学の学士号を取得した後、アメリカへ渡り、ウィスコンシン大学ミルウォーキー校でコンピューターサイエンスの修士号、シカゴ大学でMBAを取得しました。
1992年にはマイクロソフトに入社し、クラウドコンピューティングへの移行や、世界最大のクラウドインフラストラクチャの開発に関わりました。実績が認められたナデラはオンラインサービス部門の研究開発担当上級副社長、マイクロソフトビジネス部門の副社長を歴任した後、19億ドル規模のサーバーおよびツールビジネスの社長に就任しました。
彼は、企業と技術文化を既存のクライアントサービスからクラウドインフラストラクチャとサービスへと変革し、Microsoftのデータベース、Windows Server、開発ツールをAzureクラウドに導入しました。ナデラのリーダーシップの下、クラウドサービスの収益は2011年の166億ドルから2013年には203億ドルへと増加しました。
そして、2014年2月4日に、ナデラはマイクロソフトのCEOに就任しました。これは同社の歴史上3番目のCEOとしての就任でした。2021年には会長に就任し、現在に至ります。
ナデラがCEOに就任する前のマイクロソフトは、いくつかの問題に直面していました。この時期、主にWindowsやOfficeのような製品に依存しており、急速に成長しているスマートフォンなどのモバイルや、クラウドコンピューティングの市場で大きな後れを取っていました。 また、イノベーションのスピード感が遅く、企業文化が硬直化していたという指摘もあります。前CEOのスティーブ・バルマーの下で、一部の製品で成功を収めたものの、全体的な企業戦略においては困難な状況に陥っていました。
そんな変化の大きい市場を前に、CEOとして就任したナデラは最初の取り組みとして「組織文化の変革」に重点を置きました。特に「成長マインドセット」を奨励し、就任して最初の数カ月間に、「何でも知っている(know it all)」文化ではなく「何でも学ぶ(learn it all)」文化の価値を説き、ナデラ自身も自分が学んだことを振り返り共有することで、社内全体のグループにも自分たちの学びの経験を話し合うよう促しました。
また、「クラウドファースト・モバイルファースト」の戦略を採用し、マイクロソフトのビジネスモデルを自体を変革していきました。クラウドコンピューティングや、AIなどの新しい技術も積極的に採用し、ビジネスの多様化を進めました。特にAzureのようなクラウド分野の成長は目立ち、マイクロソフトをクラウドコンピューティングの分野での主要プレーヤーへと変貌させました。
また、ナデラは企業のパートナーシップ戦略を見直し、AppleやSalesforce、IBM、Dropboxなど過去のライバル企業とも協力する体制をとりました。また、企業買収にも積極的で、Minecraftで知られるスウェーデンのゲーム会社Mojangを25億ドルで買収、プロフェッショナルネットワークLinkedInを262億ドルで買収、GitHubを75億ドルで買収するなど、積極的な買収を進め、それが今となっては欠かせない事業として活きています。
こうした類稀なる経営手腕が発揮され、ナデラがCEOに就任して以来、マイクロソフトの株価は現在でほぼ10倍にまで増加しています。年間成長率は27%にも達し、14年間にわたるほぼゼロ成長期を終わらせることに成功しました。2023年現在では、アップルと時価総額の1位を争う世界トップ企業の地位を確立しています。
このインタビュー動画は、2023年の初めにAIが搭載された新しいBingを発表した時のナデラ氏のインタビューです。この動画では、AIの進化とその産業への影響について重要な見解を提供しています。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧
毎週水曜日、アメリカの最新AI情報が満載の
ニュースレターを無料でお届け!
その他講演情報やAI導入事例紹介、
ニュースレター登録者対象の
無料オンラインセミナーのご案内などを送ります。