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なぜホリプロや不二家はDXを実現しAIを使いこなせた? – ビジネス+IT掲載

2024/06/12 メディア掲載実績 
by 関口 

なぜホリプロや不二家はDXを実現しAIを使いこなせた?

– ビジネス+IT掲載

 

 

米国と比較すると、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やAI導入は遅れている。これまで100社を超える日本企業のAI導入/DX推進をサポートしてきたパロアルトインサイト CEO 石角友愛(いしずみ・ともえ)氏は、「DXとは会社のコアをデジタル化すること」だと説き、DXを成功させるアドバイスとして、パロアルトインサイトが実際に担ったホリプロや不二家といった企業の事例を紹介した。また、ChatGPTなどの生成AIを自社のビジネスに取り込む企業も増えてきたが、リスクもある。石角氏は生成AIのポジティブ/ネガティブの両面を解説しながら今取り組むべきDX戦略を唱えた。

 

自社のコアが何かを再定義し、そこを一気にDXする

IPA(情報処理推進機構)が行った日米企業のDX動向の調査によると、日本で「DXの成果が出ている」と回答した企業の割合は58%だった。半数以上には達しているものの、米国(約90%)と比較すると、日米差は依然として大きい。業務へのAI導入状況も、日本は35%の企業が未着手だ。

石角氏は、DXとは「会社のコアをデジタル化すること」だとした。自社のコアが何なのか再定義することが大切だ。そのコアの部分にデジタライゼーションを起こすことによって生まれる変革がDXだ。

自社のコアを見極めてそこを一気にDXした事例として、石角氏はモデルナを挙げた。モデルナのコアは薬の開発であり、約85%を自社で設計・開発している。同社はそこにAI投資をし、ゲノムシークエンス(生物のゲノムが持つ遺伝情報の解析)データのクラウド化、統合、オートメーションを進めている。

一方で、人事などノンコアの領域では、市販のツールを積極的に導入して省人化を図っている。石角氏は「このようにコアとノンコアで、内製化するところとツールを使って省人化をするところを使い分けることが非常に重要」と述べた。

ChatGPTなどの生成AIが台頭する時代に、企業に求められるDX戦略とはどのようなものなのだろう。石角氏は、DX推進のために乗り越えるべき壁や、生成AIのビジネス活用について、ホリプロや不二家の事例を交えて紹介した。

 

自分たちが動かせるリソースをどのように活用できるかを考える

まず石角氏は改めてデジタイゼーション、デジラタイデーション、DXの違いについて説明した。
 

デジタイゼーションは、アナログからデジタルに移行することを指す。そしてその次にあるデジタライゼーションは、デジタル化したことで作業の進め方が変わる、何かが改善されるといったフェーズを指す。それが全社的に横串で常に行われるようになり、最終的には産業や企業が変革できている状態になっていることがDXだ。石角氏は「AIを活用することで、DXがより円滑に進む」と語る。

次に石角氏は、DX推進を阻む3つの壁について話した。課題把握能力が低く、実行できない状態である「FOMOFear Of Missing Out)の壁」、課題把握能力は低いが、実行力はある状態である「 PoCの壁」、課題把握能力は高いが、実行力が足りない状態である「イントレプレナーの壁」だ。石角氏はこのうち「イントレプレナーの壁」について詳しく解説した。

「イントレプレナーの壁の特徴は、課題意識は明確で取り組みたい課題があるにもかかわらず、人を巻き込んでプロジェクト化できない、予算が取れないということです。エンジニアやデータサイエンティストが身近にいない、予算もない中でどうやって事業化するかが問題です」(石角氏)

石角氏は大手芸能事務所であるホリプロの事例を挙げた。パロアルトインサイトは、タレントに対する世の中のさまざまな反応を「感情分析」という手法を用いて可視化して、タレントの特徴をデータで示すことのできるツールを開発し、ホリプロが導入した。ホリプロは、インターネット上のコメントを項目に分けて分類し、可視化した。その結果、タレント一人ひとりの好感度を可視化できるようになり、ドラマやラジオ出演の指標とした。

 

パロアルトインサイトが開発したツールにより、タレントの好感度を可視化


 パロアルトインサイトでは当初、タレント10名に絞ってさまざまなデータを集めるプログラムを開発した。約1カ月データを集め、分類ができるかを検証。その結果検証できることがわかり、大きく展開する価値があると判断してプロジェクト化した。

石角氏は「イントレプレナーの壁を越えるには、『論より証拠』というアプローチが大事」だとした。小さくてもいいので、自分たちが動かせるリソースから客観的な事実を得ることが重要だ。また、ステークホルダーを説得する際には、技術的な話を最初からしないことも大事だ。技術課題ではなく経営課題を先に展開していくのだ。

 

データをデジタル化して会社の資産に「不二家のケース」

続いて石角氏は、パロアルトインサイトが実際に行ったDXのケーススタディとして不二家の事例を紹介した。不二家は、売上の7割を占める菓子事業と、2割を占める洋菓子事業という2つの事業部がある。洋菓子事業は赤字事業だが、不二家はここにAI導入を行うことを決めた。

不二家では、洋菓子の過去の売上データを十分に持っていなかったため、出荷量を予測できず赤字につながっていた。そこで、パロアルトインサイトと一緒に出荷量予測のAIを構築した。生菓子の材料、配合、天気といったデータをAIに分析させ、最終的には出荷量を正しく予測して工場のライン編成や人員配置、生産コストや廃棄物の抑制を実現させるためのプロジェクトを進めている。

「単純に黒字で売上貢献度が高い事業にAI投資をするだけではなくて、どうしたらAI投資を成功させられるかを考え、赤字事業でも積極的に投資案件として考えることがとても大事だと思います。最終的には、不二家さんは赤字が黒字になり、非常に大きな転換になったという結果が出ています」(石角氏)

2つ目の事例は、仙台に本社を置く暖房冷房設備、換気設備などに付帯する部品の企画販売を行っているベストパーツ。同社は受注の9割をFAXで行っており、大量のFAXを社員が仕分けして基幹システムにデータを入力した上で在庫照合などを行っていたため、1件あたりの処理に1015分かかっていた。注文書の書式が顧客によって違うため、OCR(光学文字認識システム)を使うことも難しかった。

 

円密度の高い「受注データ」をデジタル化して、会社の資産へ


 そこでパロアルトインサイトは、FAXで届く発注書を読み込んで特徴を学習するAIモデルを開発。これにより、どんな書式であっても99%の精度で判別できるようになった。ここで大事なのは、円密度の高い(売上や利益に高い影響を及ぼす)情報をデジタル化して会社の資産にすることだ。

DXにおいてデータは大事だが、闇雲にデータを集めるのではなく、ゴールを見据えて重要なデータを優先的に集めていくことが重要だ。ベストパーツのケースでは、FAXによる注文内容が円密度の高いデータとなる。パロアルトインサイトは、これをクラウドで会社に蓄積される仕組みを提案・構築した。システムだけでなく、現場の工程を極力変えないよう配慮し、成果や目標を共有する体制を構築した結果、AI活用が定着した。

 

生成AIを既存システムにどのように取り込むかを考えるのが大事

次に石角氏は、生成AIのビジネス活用について説明した。生成AIがビジネス面で大きなインパクトを与えた事例は米国でもまだ少ない。石角氏は、「地に足のついた地道な業務改善が重要」と述べた。たとえば、ChatGPTを活用したExcelマクロの読解・修正や、FAXAI OCRとの連携によって重要情報を抽出するといったようなことだ。つまり、DXにおいて生成AIが担うのはあくまで裏方だといえる。

「既存のシステムのどこにボトルネックがあるのかを理解し、裏方ということを意識しながらAPIや生成AIを使いこなして統合作業をしていくことが大事です。ChatGPTを単体で使うのではなく、既存のシステムにどのように取り込んでいくかを考えるのです」(石角氏)

石角氏はサイバーセキュリティへの生成AI活用事例についても言及した。生成AIを悪用したサイバー攻撃は今後増えると予想されている。自然言語処理能力が向上することで、詐欺メールの文章生成や多言語化対応がこれよりも高い精度で可能となり、一見すると詐欺だとわからないような文章が増えると考えられる。マルウェア開発の民主化、ディープフェイク・合成音声の悪用といった例もある。

 

生成AIを悪用したサイバー攻撃は今後増えていくと考えられる


 そのため、こうした脅威の検知とセキュリティ対策実行の自動化、脆弱性の調査、マルウェアの分析、ツールの開発といった領域で、生成AIの活用が注目されている。生成AIの分析能力により、組織の脆弱性の調査を効率化・自動化できるようになる。マルウェアの分析としては、マルウェア内のパターンの検出、コード内の異常の特定などができるようになる。ツールの開発も、今までよりも積極的にできるようになると考えられる。

生成AIをビジネスに組み込む際には、複数のリスクを考慮する必要がある。特に重要な問題の1つがハルシネーションである。この問題は、AIが事実に基づかない情報を生成することにより発生する。

たとえば、ある航空会社のチャットボットが存在しない割引情報を顧客に提示し、その結果、航空会社が責任を負わざるを得なくなる事象が発生した。このような事例から、AIによる誤情報発信がもたらす法的な責任や、内部ポリシーの設計、消費者の期待値の管理などが重要な議論のテーマとなっている。さらに、セキュリティリスクや著作権問題など、他のリスク要因も含めた総合的な対策が必要であると考えられる。

石角氏は、生成AIに関してはポジティブな事例とリスクの両方があるとし、「両方を理解しながら活用し、ユーザー自身が自分たちで正しく知識を増やしながら建設的な付き合い方ができるようになっていくことが大事だと考えます」とまとめた。

元記事はこちらから:https://www.sbbit.jp/article/sp/139576

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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