米国司法省は、不動産ソフトウェア企業RealPage社に対し、反トラスト法違反の疑いで訴訟を提起しました。RealPage社が提供するソフトウェアが、家賃の不正な価格設定を可能にし、全米の家賃を押し上げるために使用されたようです。この訴訟は、アルゴリズムを使った価格操作が主要な争点となる初めての大規模な民事反トラスト訴訟として注目されています。
RealPage社は、家賃設定ソフトウェア「YieldStar」を提供しており、このソフトウェアが訴訟の対象とされています。YieldStarは、賃貸物件の家賃や空室率に関する機密情報を収集し、そのデータをもとにアルゴリズムが家賃の提案を行う仕組みです。訴訟によると、このアルゴリズムが提示する家賃は、競争市場における価格よりも高く設定されることが多く、結果として家賃の高騰を招いているとされています。
さらにこのソフトウェアは全米約300万の賃貸物件で使用されており、RealPage社は約1600万の物件から機密情報を収集しているといわれています。同社はこのソフトウェアを通じて、家賃を3%から7%引き上げることが可能であると賃貸オーナーに対して宣伝しており、その結果として競争を回避しながら、価格を引き上げる手段として利用されていると告発されています。
今回の訴訟は、技術の誤用に対する政府の規制強化の一環として位置づけられています。司法省はこれまでにもGoogle、Amazon、Meta、Appleといったテクノロジー企業に対して、消費者に害を及ぼす独占的行為を理由に訴訟を提起してきました。しかし、アルゴリズムによる価格操作が争点となるのは今回が初めてです。アルゴリズムが法的責任を免れるものではなく、その背後にいる人間や企業が法を遵守する必要があるという点を再確認する必要があるでしょう。
参考:https://www.nytimes.com/2024/08/23/business/economy/realpage-doj-antitrust-suit-rent.html |