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パロアルトインサイト/ PALO ALTO INSIGHT, LLC.

AmazonリアルタイムマーケティングにAI技術を活用して2018/08/14

株式会社エルフィード
CTO
渡部嘉之様
パロアルトインサイト
CEO・AIビジネスデザイナー
石角友愛
パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC. > 対談 > AmazonリアルタイムマーケティングにAI技術を活用して
株式会社エルフィード
CTO
渡部嘉之様
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パロアルトインサイト
CEO・AIビジネスデザイナー
石角友愛

Amazonで医師の処方箋を必要としない医薬品を販売しているエルフィード社。競合他社も同じ医薬品を販売する中、利益率をどう上げていくかという課題が存在していました。

パロアルトインサイト社の「AI診断」によって既存の流線モデルの課題を2週間で見える化し、技術的課題を抽出。

それらを解決する機械学習技術を使った最新のモデルを実際に2ヶ月ほどで導入したころ、実際にAmazon上での商品の売上も利益率も2倍以上アップしました。そのプロジェクト(フェーズ1)の詳細が日経クロストレンド日経新聞で取り上げられました

今回は、フェーズ2としてニューラルネットワークを使ってフェーズ1の課題点をさらに改善し、粗利益率をなんと49%アップにつなげることに成功しました。そのときのお話を聞きたいと思います。

Amazonリアルタイムマーケティングの大切さとは

石角:まずはじめに、Amazonに出品する人にとって価格設定がどれだけ重要か教えてください。

渡部:マーケットプレイス型のモールであるAmazonでは価格設定が一番の肝になるところです。最安値競争に加担して市場を荒らし、結果的に寿命を縮めることにならないようにするためにも、『カートを獲得できる範囲の一番利益の高い価格を予測する』というAI的なスマートな解法が必要であり、それを短期間で遂行できるパートナーを探しておりました。

石角:単に値段を下げて消費者を獲得すればいい、というものではないんですね。

渡部:はい。

石角:そこでAI的スマートな解決法が必要だった、と。

渡部:今までの大量のデータにフィルターをかけ個別計算する方法では、時間もかかる上にノイズにも弱かったのですが、今回のパロアルトインサイトとの共同プロジェクトでは『いくつかのクラスに分けて機械学習させていく方法』を採用して、より正確にかつ短時間に予測価格を算出することへとたどり着くことが出来るようになりました。

石角:そしてフェーズ1では見事精度もゴール以上のものを達成し、売り上げも利益率も数ヶ月で倍になったということですが、フェーズ2ではニューラルネットワークという手法を用いてフェーズ1では届かなかったところを更に改善することを試みました。その背景を教えてください。

渡部:Amazonのカート獲得はその時点の評価基準1位のみに与えられた場所であり、2位には与えられません。検索エンジンの評価基準2位には1位よりも目減りしたアクセスがこぼれてきますが、Amazonの評価基準2位にこぼれる売り上げはほぼ皆無です。このようなシビアな戦いを余儀なくされているアマゾンマーケットでは、1円単位の誤差の大きさが命取りになります。そのうえ、日々、Amazonによる評価基準に算定される項目も細かくなり、要素の加算方法も常に洗練され続けてます。

前回でも大きく実益を上げた第一フェーズのモデルの完成にも満足してましたが、その時点ですでに古いアルゴリズムを追従しているモデルになってしまってきている感覚は拭い去れませんでした。今後のこの複雑化に適応できるモデルにはニューラルネットワークの導入が不可欠であると協議し、より先に進んだ開発に踏み切りました。

流動の激しい昨今のECマーケットを生き抜くには絶対的に高い技術力とスピードが必要

石角:なるほど。環境が複雑かつあっという間に変わってしまう中で一円の誤差を埋めに行くモデルが必要だったということですね。

渡部:そうです。

石角:今回面白い気づきとしては、当初は弊社のデータサイエンティストもニューラルネットワークでさらに正解率を高める努力をしたのですが、実際に開発する過程でニューラルネットワークの強みは正解率を高めることよりも、平均誤差を最小化することだと気がつき、臨機応変に対応したことです。アンサンブル型のモデルを開発、導入したところ、以下の結果が出ました。

これは、まずパロアルトインサイトが入る前に御社が既にもっていた流線モデル(Linear)、フェーズ1で我々が開発したkNNモデル、そしてフェーズ2で開発したニューラルネットワークモデル、その全てをいいとこ取りしたアンサンブルモデル、の4つで正解率と平均誤差を見ているものです。

これを見てもわかる通り、ニューラルネットワークモデルは平均誤差を縮めるのにすごい役立ったのですね。

渡部:そうですね。

石角:第1フェーズのkNNプロジェクトとNNを足して2で割ったようなアンサンブル型のモデルを最終的に作ったことが今回の勝因だと思います。その結果、お互いの手法の強みが生かされ、弱いところを補完する形になり、最適なモデルになりました。そして粗利益が第一フェーズよりも49%上昇したのは本当に嬉しいことです!

渡部:流動の激しい昨今のECマーケットを生き抜くには絶対的に高い技術力とスピードが必要なので本当に救われました。

石角:我々もモデルを開発している中で臨機応変に対応できたことが結果につながったと感じています。そして何より渡部さんの技術力の高さやスピード感には脱帽です。

渡部:ニューラルネットワークに関しては経験、専門的な知識なしでの短期導入は難しいことは承知でしたのでデータサイエンティストありきでの開発は非常に心強かったです。3か月の短期で開発が完了、組み込んだその日から大きく効果が出来たのは本当に感謝です。

石角:こちらこそ、どうもありがとうございました!

渡部:ありがとうございました。

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